ヨーロッパハムスターを近絶滅種に指定、IUCN

気候変動、農業、光害などの脅威に脆弱、無策なら「30年以内に絶滅」

2020.07.21
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かつてはヨーロッパから西アジアの全域に数多く生息していたヨーロッパハムスター。 (PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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 丸い頬、辺りを探る小さな足、人間の手のひらにちょうど収まるふわふわの体。家畜化されたハムスターは、人気の高いペットだ。しかし、ヨーロッパやアジア、中東の一部に野生のハムスターが26種もいることは、あまり知られていない。どの種も皆愛らしいが、必ずしも人懐こいとは限らない。

 例えば、ヨーロッパハムスター(Cricetus cricetus、クロハラハムスターとも)は攻撃的で、人が触ろうとすると飛びついて噛みつく、とウクライナのキエフ動物園の研究者ミハイル・ルーシン氏は言う。「飼育下で生まれた個体でも、成長したら人には懐きません」

 このように凶暴でも、体重450グラムほどのヨーロッパハムスターは、気候変動や農業、光害などの脅威に対して非常に弱い。おそらくそのせいで、野生では数が減っており、国際自然保護連合(IUCN)は7月9日にヨーロッパハムスターを近絶滅種(critically endangered)に指定した。

 ヨーロッパハムスターは、かつてはヨーロッパおよび西アジア全域の草原で見られたが、その生息域は劇的に縮小してしまった。フランスの生息地は94%も失われ、今やアルザス地方を残すのみとなった。また、東欧(特にウクライナとロシア)でも75%以上減少した。IUCNによれば、何の対策も取らなければ、ヨーロッパハムスターは30年以内に絶滅するという。

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 非常に危機的な状況を受け、今回の指定を決めたメンバーの1人であるルーシン氏は、新たな保護活動に拍車がかかるとみる。同氏らのチームは、すでに行動を起こしており、今週、飼育下で育てられた11匹のヨーロッパハムスターをウクライナのホティン国立公園に再導入した。ウクライナでは、史上初の試みだ。

 ヨーロッパハムスターの保護が重要なのは、アカギツネの仲間からユーラシアワシミミズクのような大型鳥類まで、多くの捕食者にとって彼らが極めて重要な獲物としての「中枢種」だからだ。中枢種とは、生物量が少ないにもかかわらず、生息域に多大な影響を与え、生態系を一つにまとめる種をさす。

「この種を失うと、現在の生態系が崩壊する危険があります」とルーシン氏は話す。ひいては、人間社会にも害が及ぶかもしれない。人は、食料や水、その他の資源を生態系に依存している。「自然とは関係がないと考える人もいますが、そうではないのです」

 また、ヨーロッパハムスターが絶滅すれば、世界からまた少し色が失われることになる、と同氏は付け加える。その黒い腹、白のまだら模様、栗色の背中によって、ヨーロッパハムスターは「おそらくヨーロッパで最も美しいげっ歯類の1つ」だと言えるのだという。

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