604年ぶり、コウノトリが英国で営巣、ひな誕生

「ついにやってくれました」と担当者、自然回復の努力が奏功

2020.07.20
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英国南部で巣作りの材料を運んでくるコウノトリのオスと出迎えるメス。このほど英国で600年ぶりにコウノトリの繁殖が確認された。(PHOTOGRAPH BY NICK UPTON)
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 2020年5月6日、英国南部のオーク(ナラ)の木の上で、コウノトリの卵がかえり、3羽のひなが生まれた。

 これは歴史的な瞬間だった。英国でコウノトリが繁殖するのは、前回記録されてからなんと604年ぶりのことだったからだ。ウェストサセックス州にあるここクネップ城地所では、2週間後にも近くの巣で3羽が誕生した。

「本当にワクワクする出来事でした。この瞬間を夢見てきて、ついにコウノトリがやってくれました。また英国でひなが生まれたのです!」と、シュバシコウ復活プロジェクト「White Stork Project」の専門家ティム・マックリル氏は話す。2016年に始まった同プロジェクトは、2030年までに英国南部で50組のシュバシコウのつがいを成立させることを目標にしている。

 シュバシコウは、ヨーロッパ中でとても愛されているコウノトリ。赤ちゃんを布に包んで運んでくるとされる、幸運と再生の象徴だ。赤いくちばしに白い体、長く赤い脚をもち、体高は90センチを超え、黒い翼を広げると2メートルにもなる。毎年春になると、越冬地であるケニアやウガンダ、さらには南の果ての南アフリカから飛来し、町や村の屋根に巣を作る。

Source: IUCN
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 コウノトリが英国から消えた理由は、はっきりしていない。中世の晩餐会のメニューになっていたことから、食料として乱獲されたのかもしれない。600年にわたり不在だったにもかかわらず、コウノトリは民話や童話、パブやホテルの看板にと、英国で親しまれ続けてきた。このカリスマ的な鳥が復活したことで、自然回復に対する人々の関心が高まること、そしてほかの種でも再導入の道が開けることを、シュバシコウ復活プロジェクトは期待している。

 ひなたちの誕生は、COVID-19で暗いニュースが続くなかで人々の共感を呼んでいる。5月中旬、英国で自然豊かな地域への旅行制限が解除されると、自らの目でコウノトリを見ようと数百人がクネップを訪れた。

 ここ数日で、最初のひなたちは、巣立ちをした。両親が見守る中、地面に舞い降り、バッタを食べ、夜は近くの木で休んでいる。今後数週間のうちに、冒険心に溢れる若いコウノトリは、はるかに遠くまで飛べるようになり、おそらく親鳥について、しばしヨーロッパ大陸へと飛び立つだろう。

 ヨーロッパのコウノトリはここ数十年、厳しい状況に置かれている。餌となる両生類や小魚が生息する湿地が干上がったり、昆虫が殺虫剤で減ったりしているほか、この鳥自身が電線に衝突して命を落とすなどしている。一方でこれを相殺するように、フランスやイタリア、スペイン、オランダ、スイス、ポーランド、スウェーデンではコウノトリ再導入の取り組みが行われている。ヨーロッパ全体を見ると、コウノトリは絶滅の危機には陥っていない。(参考記事:「日本の例:“邪魔者”コウノトリの野生復帰はなぜ成功したのか」

コウノトリの親は、交代でひなに餌を与える。ミミズやバッタ、ヘビすら吐き戻す。 (PHOTOGRAPH BY BRAD ALBRECHT)
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