エキゾチック動物の牧場が米国で増加、飼育数は125種100万頭

キリンやシマウマ、オリックスなどの飼育・売買、静かに盛り上がり

2020.07.25
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キリンに餌を与えるブライアン・ギルロイ氏。氏は米国テキサス州にあるエキゾチック動物牧場、ワイルドライフ・パートナーズの経営者だ。写真家のメラニー・ウェンガー氏は、テキサス州に何千もあるエキゾチック動物牧場のいくつかを取材した。(PHOTOGRAPH BY MÉLANIE WENGER, NATIONAL GEOGRAPHIC)

「ここには野生より多くのオリックスがいます」。バギーを運転するブライアン・ギルロイ氏が言った。

 シロオリックスとその近縁種アラビアオリックスは、美しい角をもつことからユニコーンのモデルとも言われる。ただし、伝説上のユニコーンと同様、これらの動物を見つけるのは困難をきわめる。どちらも野生では絶滅したと考えられているためだ。

 だが、私(筆者のダグラス・メイン氏)は今、米国テキサス州でバギーに乗りながら、岩だらけの土地を疾走する約30頭のオリックスの群れを見ている。

 ギルロイ氏が営むワイルドライフ・パートナーズ社は、約700ヘクタールの土地とオリックスなどの動物を所有し、テキサス州で最も新しく、最も大きな部類に入る「エキゾチック野生動物」の牧場を運営している。エキゾチック動物とは家畜ではない外来の野生動物のことを指しており、この牧場ではオリックスやシマウマ、アフリカスイギュウといった有蹄類を専門に飼育、売買している。

ギャラリー:エキゾチック動物牧場の実態 写真11点(画像クリックでギャラリーへ)
鎮静剤を投与したシマウマがヘリコプターでつり上げられる。テキサス州サンアンジェロ近郊にある牧場セクシー・ホワイトテールズで撮影。外来有蹄類は重く、気性が荒いため、捕まえて運ぶのが難しい。その結果生まれたのが輸送という部門だ。ある牧場が別の牧場に動物を売りたいとき、しばしばワイルドライフ・パートナーズのような専門業者に依頼が舞い込む。(PHOTOGRAPH BY MÉLANIE WENGER, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 ワイルドライフ・パートナーズは、何千もあるエキゾチック動物牧場の一つにすぎない。エキゾチック野生動物協会の会長チャーリー・シール氏によれば、テキサス州には125種100万頭以上の外来有蹄類が暮らしているという。同協会は約5000の牧場が加盟する業界団体であり、業界全体で年間20億ドルの売上があると、シール氏は述べている。

 エキゾチック動物牧場は、ウシなどの牧場と同じく、動物の飼育、販売によって利益を得ている。販売の相手は同業者、珍しい動物を所有したい裕福な地主、狩猟牧場だ。狩猟牧場では、高額な料金を支払えば、わざわざ外国に行かなくても、希少な外来生物を仕留めることができる。

 エキゾチック動物牧場の多くがそうであるように、ワイルドライフ・パートナーズは狩猟牧場ではない。収入源は動物の飼育と売買だ。しかし、一部の動物は狩猟牧場に販売される。

 ただし、ギルロイ氏によれば、業界の大半は営利目的の狩猟を提供していないという。「地主は珍しい野生動物を所有することで、誇り(とステータス)を手にするのです」(参考記事:「米国人による“趣味の狩猟”で大量の動物が犠牲に」

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