「英雄」の銅像撤去相次ぐ、コロンブスやガンジーも

世界は過去の失敗を消し去るべきか、歴史をいかに伝えるべきか

2020.07.02
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2020年6月19日、ワシントンDCでアルバート・パイクの像を倒そうとする人々。(PHOTOGRAPH BY EVELYN HOCKSTEIN, THE WASHINGTON POST/GETTY)

 米国で、かつて英雄とされた人物の銅像の撤去が相次いでいる。

 バージニア州は、19世紀の南北戦争で奴隷制度を支持する南部の州として戦った。その州都リッチモンドに、モニュメント・アベニューと呼ばれる大通りがある。ここにはかつての南部軍人の像が立ち並んでいるが、今、それらが次々に倒され、撤去されている。州知事は、南軍司令官だったロバート・E・リー将軍の像の撤去を正式に発表した。

米国バージニア州リッチモンドに立つ南軍司令官リー将軍の像の空撮写真。1890年に建てられた像は、まもなく撤去される。(PHOTOGRAPH BY JOHN BIGGS)

 奴隷制度を支えた歴史的人物の像を撤去する動きは、かつての米国の大統領や、世界の「偉人」たちにも拡大しつつある。ジョージ・ワシントン初代米国大統領、ユリシス・S・グラント大統領、セオドア・ルーズベルト大統領のほか、英国では植民地時代の政治家ウィンストン・チャーチル、セシル・ローズ、さらにはインド独立の父マハトマ・ガンジーの像まで標的になっている。(参考記事:「ガンジーを覚醒させた列車での出来事 「非暴力・不服従」はこうして生まれた」

2020年6月8日、英国、ロンドンの議会広場でウィンストン・チャーチルの像に「人種差別主義者」と書かれた落書きを消す作業員。(PHOTOGRAPH BY DAN KITWOOD, GETTY)
ロンドンの議会広場に立つマハトマ・ガンジーの像を板で囲む作業員。(PHOTOGRAPH BY YUI MOK, PA IMAGES/GETTY)

 公共の芸術作品や記念碑には、植民地政策や奴隷制度、白人至上主義の歴史を背景に持つものが少なくない。現在起きているのは、そうした歴史をいかに伝えるべきか、どう理解されるべきかを見直そうとする動きだ。

 きっかけは、2020年5月25日にミネアポリスで黒人男性のジョージ・フロイドさんが警官に取り押さえられて殺された事件だった。その一部始終を撮影した動画が出回ったことで、警官の暴力や黒人差別に対する抗議活動が全米で巻き起こった。だが、この事件が起こるずっと以前から、変化を求める声はあった。フロイドさんの死は、それに火を付けたのだ。(参考記事:「人種差別抗議デモ、人種を超えて広がる人々の思いと闘い」

 だが難しいのは、何を見直し、切り捨てるべきかという問題だ。より完全な形で、正直に伝えるべき物語とは何か。歴史はどのように教えるべきなのだろうか。

次ページ:世界中で変化が起きている

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