新型コロナ、第二波はどうすればうまく防げるのか

感染者が再び急増し始めた米国、その分析と対策とは

2020.06.30
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 感染状況を監視するためのよりよい基準は、検査の陽性率、つまり検査件数の何パーセントが陽性かだとヌッツォ氏は言う。

 世界保健機関(WHO)が推奨しているのは、流行が沈静化しつつある多くの国が行っているように、ロックダウンを解除する前に、COVID-19の疑いがある人を包括的に検査した場合の陽性率を、少なくとも14日間連続で5パーセント以下にすることだ。このラインを超えると、COVID-19の集団から集団への感染を抑えるのは難しくなる。

 また、陽性率が高いということは、流行を制御できないほど広がっていることを意味している。医療施設は重篤な症状の患者を優先させる傾向にあるため、軽症患者が見過ごされて、拡大のさらなる悪化につながる。

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 ところがCDCとホワイトハウスは、世界トップレベルの国際専門家集団によって決定されたWHOの基準に従わず、州の検査陽性率が20パーセントを下回れば、街を再開できるとしている。「これはとんでもなく高い数値です」と、ヌッツォ氏は言う。現在感染者数が急増している30州のうち、16州では陽性率が5パーセントを超えており、残りの州でも陽性率は上昇傾向にある。

リーダーシップの問題

 世界は、新型コロナウイルスの理解において大きな進歩を遂げてきたが、結論を導くには常に時間がかかる。マスクの効果について、科学者が当初の懐疑的な姿勢から全面的な支持へと変わるまでには数カ月を要した。(参考記事:「マスクの洗い方は? 手袋の効果は? 新型コロナ感染予防」

「第二波」についての科学者の考え方もまた変化している。疫学的な観点からいえば、本来「波」は人間がさほど介入しなくとも自然に消滅していくものだが、コロナウイルスはそうした従来のパターン通りに推移していない。

「わたしはもう、これを波とはみなしていません。波は時代遅れな概念です。実際にあるのは山と谷なのです」と、オスターホルム氏は言う。(参考記事:「「コロナ禍」はいつまで続く?:2022年終息説ほかいくつかのシナリオ」

 こうした視点から観察を行うことによって、新型コロナウイルスを低レベルに抑え込み、ワクチン開発などの時間を稼ぐことを可能にする、エビデンス(科学的な証拠)に基づいた介入策が生み出されてきた。しかしながら、メッセージの伝え方に問題があるせいで、その効果は十分に発揮されていない。

 およそ2週間前、CDCが外食に関する詳細なガイドラインを発表したが、それに気づいた人はほとんどいなかった。なぜなら、今ではCDCが世間の人の目につく場に登場することは非常にまれだからだ。また政治的な分裂のせいで、マスクを着けたくないという声も、徐々に人々の間で聞かれるようになっている。

「結局はリーダーシップの問題なのです」と、米フロリダ国際大学のアイリーン・マーティ教授は言う。この記事のために取材した専門家は全員、この点に同意しているが、彼らは同時に、責任はトップのホワイトハウスだけではなく、議会、知事、さらにはその下に並ぶすべての指導者たちにあるとも述べている。(参考記事:「南極探検隊にみる、コロナ危機を乗り切るヒント」

 専門家の中に、二度目のロックダウンが避けられないと考えている者はまだいない。しかし米国では、病院が満杯になり、通常の診療がストップする危険な状態が再び視野に入ってきている。COVID-19の救援措置の大半は7月で終了し、夏が秋に向かうにつれて、わたしたちはウイルスが増殖しやすい閉鎖的な環境に戻らざるを得なくなっていく。(参考記事:「コロナ・失業・猛暑、「三重苦の夏」がやってくる」

「ウイルスはこちらの都合など気にしません。それが現実です」とシャーマン氏は言う。「ウイルスはただ、ウイルスがやるべきことをやるだけです」

文=NSIKAN AKPAN/訳=北村京子

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