新型コロナウイルスが廃止早める オランダのミンク産業

パンデミックで50万匹超のミンクが殺処分された毛皮輸出国オランダ。毛皮産業の廃止は加速するか

2020.06.30
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参考ギャラリー:2016年9月号「毛皮ブーム再来の陰で」 写真9点(画像クリックでギャラリーへ)
ポーランドの飼育場で毛皮用に飼われるミンクは、約6~8カ月の一生をこのケージ内で過ごす。毛皮動物の飼育環境の改善を目指して厳しい基準が新たに設置され、ヨーロッパなど一部の地域では、そうした基準を守る毛皮生産者も現れている。(PHOTOGRAPH BY PAOLO MARCHETTI)

 デンマークでも、2つのミンク農場で新型コロナウイルス感染が発覚。1つの農場では、1万1000匹が殺処分され、他の農場で感染の有無を確かめるべく、検体を採取する計画が発表された。ちなみに、デンマークには1500のミンク農場があり、約1900万匹が飼育されている。オランダとは異なり、デンマークではミンク産業の廃止を目指す法案は可決していない。ちなみに、キツネの毛皮の市場は2009年から段階的に閉鎖することが決まっていて、2023年には完了する予定だ。 (参考記事:「乱獲で激減、絶滅危惧のラッコ」

 オランダやデンマーク以外のミンク生産国に目を転じると、殺処分の計画も段階的縮小の計画も今のところ発表がない。ファー・ヨーロッパの広報担当者ミック・マドセン氏は、ミンクが新型コロナウイルスを広めているわけではないと主張している。「(オランダとデンマーク以外では)バイオセキュリティー対策が機能しています。ミンク農場に新型コロナウイルス拡大の責任はありません。ウイルスを広めているのは人間のほうですから」

毛皮産業は段階的に廃止へ

 ところで、オランダでは、法案の成立には、議会を通過した後、国王と関係大臣または副大臣の署名が必要になる。ファー・ヨーロッパのマドセン氏は「ミンク農場の同意は、法律の成立に不可欠だろう」と述べている。「農場主に提示される補償額がポイントになります」と述べる。

 一方、ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナルは、法案は議会を通ったので、今後は、農場所有者へのコロナ禍に対する経済面での補償、ミンク農場の閉鎖などに、具体的な進展が見られるだろうとコメントしている。

 オランダでは、パンデミックの影響を受けたミンク農場への国の支援は、政治的な議論へと発展した。先に触れた、オランダ政府が13年に決定した24年までのミンク産業廃止の法案には、農場への経済的補償は含まれていなかったからだ。パンデミックだからという理由で農場を支援するとなると、ある議員の表現を借りれば「非倫理的な産業」を税金で支援することになるため、オランダ議会では論争が繰り広げられたのだ。

 近年、欧州では動物福祉に関する懸念から、毛皮産業の廃止に踏み切る国が増えている。オーストリア、ベルギー、ルクセンブルク、スロベニア、クロアチア、チェコ、スロバキア、英国は毛皮動物農場を禁止し、アイルランドは毛皮生産を禁止する法律をつくろうとしている。ブルガリアとリトアニアでも最近、毛皮動物の飼育を停止するための法案が提出された。 (参考記事:「研究室 熊本サンクチュアリと動物福祉と研究の未来」

 ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナルのファッション政策ディレクター、P・J・スミス氏は、ドイツでは毛皮動物の飼育は禁止されていないが、動物福祉に関する厳格な条件が導入され、事実上、毛皮産業は採算面で折り合わず、存続不能になったと説明している。実際に、ドイツに残っていた毛皮動物農場のほとんどは、19年に閉鎖を余儀なくされた。

 毛皮動物の飼育に反対する動きは「欧州連合(EU)以外の国にも広まっている」とスミス氏は話す。「ノルウェーやセルビア、北マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナも毛皮生産を禁止しています」。オランダのミンク産業が停止すれば、400万の毛皮が市場から姿を消すことになる。

文=DINA FINE MARON/訳=米井香織

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