メッカ大巡礼、今年はサウジ国内の1000人のみに

新型コロナで建国以来初の国内限定措置、「秩序を揺るがす出来事」と識者

2020.06.26
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サウジアラビア、メッカの大モスクの中心部にあるイスラム教最高の聖地カアバ神殿の広場を消毒する作業員。2020年3月撮影。サウジアラビア政府は6月、毎年恒例のメッカ大巡礼を大幅に制限すると発表した。(PHOTOGRAPH BY AMR NABIL, AP)
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 世界中のイスラム教徒が毎年聖地メッカを訪れる大巡礼(ハッジ)は、世界最大級の集会だ。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを理由に、世界中に散らばるイスラム教徒のほとんどが聖地メッカへの立ち入りを禁止されることになった。

 2020年のハッジは7月後半に始まる予定だったが、さまざまな臆測が飛び交うなか、サウジアラビア政府がついに決断を下した。ハッジそのものを中止するのではなく、神聖な集会の参加者を国内に居住するイスラム教徒の一部のみに限定するというものだ。

 例年であれば、世界におよそ18億人いるイスラム教徒のうち、200万人以上がハッジのためメッカを目指す。ハッジはイスラム教徒の義務である五行の5番目に位置づけられ、経済的、身体的に可能であれば、イスラム教徒の成人は少なくとも1度はハッジを実行しなければならない。

 多くのイスラム教徒にとって、メッカ巡礼は一生に一度の旅だ。しかし、専門家の予測によれば、2020年は、サウジアラビアに居住するイスラム教徒2900万人のうち、わずか1000人ほどが参加を認められる見込みだ。

 ハッジの期間になると、巡礼者はまずテント村のあるミナに向かう。そこからアラファト山、メッカの大モスクへと移動し、さらに数カ所を訪れる。巡礼は5~6日にわたり、巡礼者は各地でほかのイスラム教徒と出会い、一緒に祈ったり、象徴的な儀式を行ったりする。巡礼者は特別な白の衣装をまとい、イフラームと呼ばれる神聖な状態に入る。イフラームの間は、髪や爪を切ること、性交渉などが禁止されている。

 いくつかの国はすでに、国民がハッジに参加することを禁止していたが、米デューク大学の教授としてイスラム教を研究するオミッド・サフィ氏は、それでもサウジアラビア政府の発表が痛烈な一撃であることに変わりないと考えている。メッカ巡礼には、世界中に散らばるイスラム教徒のコミュニティーを一つにする力があるためだ。「ハッジは単なる宗教儀式ではありません」とサフィ氏は話す。「イスラム教の理想である徹底的な平等主義の象徴でもあります。思想や物、さらには、神秘思想が交わされます」 (参考記事:「カアバ神殿の周回、大巡礼「ハッジ」」

2019年8月のハッジ期間中、カアバ神殿の周囲を歩くイスラム教徒たち。経済的、身体的に可能であれば、イスラム教徒の成人は少なくとも1度は大巡礼を行わなければならない。(PHOTOGRAPH BY AMR NABIL, AP)
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