8000年前の謎の杭刺し頭骨、北欧男性の顔を復元

出土時に杭が刺さっていて話題に、目や皮膚の色も特定、スウェーデン

2020.06.24
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写真の説明:杭は頭骨の下側の穴から挿入されていた。

 カナルヨルデンは、2009年から2014年にかけて発掘された。北欧の中石器時代を研究する考古学者にとっては、特に魅力的な遺跡だ。この時代は北欧で最後の氷河期が終わった後で、1万1000年前ごろからはヨーロッパ西部や北東部から狩猟採集民が流入してきていた。

 カナルヨルデンの人骨は、北欧の中石器時代によく見られる土葬されたものとは異なっている。紀元前6000年ごろに9人の男女の頭骨が何らかの意図をもって湖に沈められた。頭骨はすべて杭に刺さっていた可能性があり、周辺にはイノシシやクマ、シカ、アナグマなどの動物のあごの骨(頭骨は含まれていない)が置かれていた。

「人間と動物が、象徴的な方法で、まるで互いを補い合っているかのようです」とハルグレン氏は言う。

8000年の時空を超えて

 風変わりなカナルヨルデンの遺跡に心を奪われたのが、考古学者で彫刻家でもあるオスカー・ニルソン氏だ。氏は、当時の人々がなぜこのようにわざわざ骨を並べて湖に沈めたのかを理解しようと、遺跡の写真を調べた。

「頭骨やその配置を眺めるということは、彼らの頭の中や宗教をのぞき見ることでもあります」とニルソン氏は話す。

 9人中6人の頭骨からDNAデータを入手できたため、皮膚や髪、目の色を特定できた。中石器時代のヨーロッパには、現在のヨーロッパ人より皮膚の色が濃い人もいたようだ。この点は、リュドビックと同時代か、それよりも後にスカンジナビアで暮らしていた女性2人の顔の復元結果とも一致している。リュドビックは肌の色も目の色も薄いが、リュドビックと同時に発掘された女性は、髪はブロンドで、肌はやや浅黒かったことが、頭骨から採取したDNAで示されている。この点からも、当時のスカンジナビア人の遺伝的な複雑さがわかる。この女性の顔の復元は来年行われる予定だ。(参考記事:「7000年前のスウェーデンの女性を復元、特別な存在」

ギャラリー:昔の人はこんな顔だった、考古学者が超リアルに復元 写真9点(写真クリックでギャラリーページへ)
現在のスウェーデン南部で7000年前に亡くなった女性。遺骨とDNAと埋葬時の様子を基に復元した。(PHOTOGRAPH BY GERT GERMERAAD, TRELLEBORGS MUSEUM)

 グラフマン氏は、21世紀のムータラの住民たちがリュドビックをどう見るのかについて非常に興味があるという。氏にとって、顔の復元は時空を超えて人と人の間に橋をかけることにほかならない。

「どんな分野であろうと、私たちはそうしようと努めます。今回のような復元でも、他の人々について本を読む場合でも、私たちをつなぐアート作品を見るときでもそれは変わりません。人と人のつながりを見つけることが重要だと考えています」

文=KRISTIN ROMEY/訳=鈴木和博

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