堂々たる風貌だ。50代くらいだろうか。灰色の立派なひげをたくわえ、イノシシの皮で作った服を着ている。がっしりした胸には石灰で模様が描かれ、遠くにある何かを見つめるように青い目を細めている。「リュドビック」と名づけられたその男は、8000年ほど前の北欧人だ。
しかし、リュドビックは話せない。まだわかっていないことがたくさんあるだけに、非常に残念だ。
これは、スウェーデン南部のカナルヨルデンという場所で約10年前に発掘された人骨から初めて復元された顔だ。カナルヨルデンは紀元前6000年ごろの遺跡で、興味深いことに、小さな湖の中心に沈んでいた石壇には、動物や人の骨が何らかの意図をもって並べられていた。
2018年に発掘に関する論文が公開されると、カナルヨルデンは世界中の注目を浴びることになった。2つの頭骨の中に状態のよい木の杭が入っており、少なくともいくつかの頭骨が杭に刺されていたことを示していたからだ。このようなものが見つかったのは初めてだった。(参考記事:「8000年前の謎の杭刺し頭骨を発見、定説覆す」)
「とても魅力的で非常に複雑な遺跡です」と、カナルヨルデンの発掘プロジェクトを指揮したスウェーデン文化遺産財団のフレドリック・ハルグレン氏は述べる。
顔の復元を依頼したのは、近くにあるムータラという町のシャルロッテンボリ城という博物館だ。17世紀にリュドビック・ビーリッヒ・レーベンハウプ伯爵が建てた城で、リュドビックという名前はこの人物にちなんでいる。復元された顔は23日から博物館で展示されている。
ムータラの文化余暇局のトップを務めるハンナ・グラフマン氏は、顔が復元されたことで、町の人々は遠い祖先がどんな姿をしていたかを知ることができると述べる。ただし、リュドビックという名前は「実際に石器時代に使われた名前ではありません」と言う。
小柄でやせた女性で、25歳に達する前に出産が原因で死亡したとみられている(骨盤のあたりに胎児の骨が見つかった)。ブリテン島の新石器時代初期の埋葬地跡であるホワイトホークエンクロージャーで1933年に発掘された。最新のDNA解析により、ここに埋葬されていた人々は、後にブリテン島にやって来たビーカー人と比較して、一般的に肌も瞳の色も濃かったことが示唆された。彼らは、約4400年前にビーカー人に取って代わられた。(COURTESY ROYAL PAVILION & MUSEUMS, BRIGHTON & HOVE)