コロナ・失業・猛暑、「三重苦の夏」がやってくる

社会的弱者の保護が緊急の課題、前代未聞の夏の対応に追われる米国各地

2020.06.20
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2019年7月、ニューヨーク市クイーンズで、噴水を浴びて夏の暑さをしのぐ人々。今年はニューヨークに限らず全米で記録的な暑さが予測されており、各自治体はパンデミックと高い失業率のなかでの暑さ対策という問題に直面している。(PHOTOGRAPH BY GABRIELLA ANGOTTI-JONES, THE NEW YORK TIMES/REDUX)
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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)、記録的な失業率、そして猛暑。夏の到来とともに、米国が前代未聞の三重苦に見舞われようとしている。今年は、全米のほとんどの地域で例年よりも厳しい暑さが予測される。緊急時の地域協力を推進する「アリゾナ州立大学ナレッジエクスチェンジ・フォー・レジリエンス」の事務局長パトリシア・ソリス氏は、今年は地方自治体にとって厳しい夏になるだろうと話す。

「こうしたすべての問題にどうやって対処すべきか、まだ答えは見つかっていません」

 米国では、天候関連の死因として2番目に多いのが暑さだが、米連邦緊急事態管理局(FEMA)は猛暑による緊急事態の予算を組んでいない。そのため、暑さ対策は州政府や地方自治体にほぼ丸投げ状態になっている。

 特に懸念されるのが高齢者だ。新型コロナウイルス感染症による死者のうち10人に8人が65歳以上であるため、米疾病対策センター(CDC)は高齢者や深刻な基礎疾患を持つ人々にはできるだけ外出を控えるよう促している。しかし、夏の猛暑日には、それはかえってリスクを高めかねない。

 人間の体温は通常摂氏36~38度の範囲に収まっている。室内でも室外でも、熱指数(温度と湿度を組み合わせて算出する体感温度)が40度に達すると、体内温度も時間をかけて同じレベルまで上昇する。小さな子どもや65歳以上の高齢者、または健康に問題がある人の場合、体内温度は短時間で上昇する可能性がある。そして40度に達すると、30~60分で死に至ることもある。

 こうした弱者を暑さから保護するため、全米の自治体はこの夏、電気料金未払いなどによる電気の供給停止の一時的な禁止やエアコンの無料配布、冷房の効いた公共施設を一般に開放する「クーリングセンター」の開設など、様々な対策を打ち出している。

アリゾナを襲った4月の熱波

 アリゾナ州では4月に、37.7度を超える熱波に記録史上最も早く襲われた。普段ならコミュニティセンターや図書館が公共のクーリングセンターに指定されているが、今年は新型コロナウイルス感染症予防のため、どこも閉鎖されていた。おまけに、最近になってコロナ患者が急増し、州の病院は収容能力を超えようとしている。

次ページ:熱中症とみられる死亡者数が前年の3倍に

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