1億1000万年以上前に生息し、韓国の晋州(チンジュ)層に足跡化石を残したと推定されているワニ形上目バトラコプス・グランディス(Batrachopus grandis)の復元図。(ILLUSTRATION BY ANTHONY ROMILIO, THE UNIVERSITY OF QUEENSLAND, BRISBANE, AUSTRALIA)
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 1億1000万年以上前の白亜紀には、現在の韓国南部、晋州(チンジュ)市近くの沿岸部は広大な湖に覆われていた。ぬかるんだ湖岸にはカエル、トカゲ、カメ、そして恐竜などがすんでいて、泥に足跡をつけていた。湖の水位が上昇するたびに、こうした足跡に砂が入り、その一部が足跡化石として保存された。

 この地域の晋州層という地層からは、これまでに数千個の足跡化石が発見されていると、米コロラド大学デンバー校の古生物学者で、足跡化石などの生痕化石の専門家マーティン・ロックリー氏は話す。

 だが、その中でも最も大きな足跡化石は、ロックリー氏と韓国の共同研究者らを長年、悩ませてきた。そして2019年、彼らはついに保存状態の良いその足跡化石を発見し、6月11日付けで学術誌「Scientific Reports」に論文を発表した。

 見つかった足跡化石には、動物の足の指、足裏の肉球のほか、皮膚の模様の跡もあった。化石を詳しく調べたロックリー氏らは、足跡をつけたのは、おそらく体長約3メートルのワニ形上目(Crocodylomorpha)だったと確信した。ただし風変わりなワニ類だったようで、足跡が後足のものしかないことから、二足歩行をしていたと示唆される。

「確かに、(この足跡は)大型のワニ類のものに見えます」と、生痕化石の研究者である米エモリー大学のアンソニー・マーティン氏は言う。なお、氏は今回の研究には関与していない。「陸上を後肢で二足歩行していたワニ類がいたとは、実に奇妙です。とはいえ、白亜紀は本当に奇妙で不思議な時代だったのです」

韓国、泗川(サチョン)市自恵里(チャヘリ)の発掘現場から見つかった足跡化石。二足歩行する大型のワニの仲間が残したもののようだ。(PHOTOGRAPH BY KYUNG SOO KIM, CHINJU NATIONAL UNIVERSITY OF EDUCATION, KYUNGNAM, SOUTH KOREA)
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