イカの触腕のものとみられるゴルフボール大の吸盤の跡が背びれの下付近に残る体長2メートルのヨゴレ。太平洋深海には、ダイオウイカを含む様々な大型のイカが生息している。(PHOTOGRAPH BY DERON VERBECK)
イカの触腕のものとみられるゴルフボール大の吸盤の跡が背びれの下付近に残る体長2メートルのヨゴレ。太平洋深海には、ダイオウイカを含む様々な大型のイカが生息している。(PHOTOGRAPH BY DERON VERBECK)
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 パパスタマティウ氏らは、6月3日付けで学術誌「Journal of Fish Biology」に発表した論文で、このサメとイカが対決した証拠について記述している。このような跡を残せる大型のイカは数種類いるため、実際にどの種のイカだったのかは不明だ。しかし、同氏が言うには「かなり大きなものだったはずです」

 こうした発見は特に、フカヒレ漁により絶滅を危惧されているヨゴレの保全に役立つ。例えば、ヨゴレが深海で採食を行っているようだとわかれば、どの海域を保護すればよいのかを政策立案者に提案することができる。

知られざる深海の闘い

 パパスタマティウ氏は、1枚の写真に基づいて結論を下すことは困難だと注意を促す。「何よりも残念なのは、何が起こったのかを実際に見られなかったことです」

 サメとイカという捕食者同士が行き合って小競り合いが起こったとも考えられる。だが同氏は、どちらかと言えばサメがイカを捕食しようとして追いかけたのではないかと考えている。

【参考動画】米国の海で初めて撮影されたダイオウイカ(VIDEO COURTESY: EDIE WIDDER AND NATHAN ROBINSON; OCEANEXPLORER.NOAA.GOV)

 ヨゴレは食物へのこだわりが少なく、様々な種類の魚や小さなイカを食べる。深海まで潜ることはできるものの、海面近くで食物を探すことが多い。

 イカがけんかを売ったとも考えられるが、論文の共著者であるフロリダ国際大学の生物学者ヘザー・ブラッケン=グリッソム氏は、イカがサメを捕食するという話は聞いたことがないと話す。

「イカがサメに襲われて身を守ろうとしていたという可能性のほうが高いと思います」と、氏はメールでの取材に答えた。また、サメに付いていた跡からすると、イカの外套膜(がいとうまく)、つまり胴体部分は、少なくとも1メートルはあったはずだという(その大きさのイカであれば、触腕を合わせると体長はさらに8メートルほど長かった可能性がある)。サメの体に付いていた白い点は、触腕の細い部分にある比較的小さな吸盤によるものと考えられる。

次ページ:イカを食べに深海に潜っている?

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