7500年前のイベリア女性の顔を復元、アナトリアのDNAが90%

本人か近い祖先が、現在のトルコから地中海をわたってきた可能性

2020.06.09
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復元された7500年前の女性「カルペイア」の顔。ジブラルタル博物館。(MANUEL JAÉN)

 ジブラルタルは、スペインの南、イベリア半島の南端に位置する英領だ。1996年、ここで考古学者らが調査を行い、洞窟の中から頭蓋骨を含む人骨の埋葬地を発見した。

 この埋葬地が非常に古いことはすぐにわかった。動物の骨や石器が堆積した層の下で見つかったからだ。頭蓋骨は損傷を受けていたが、ジブラルタル博物館に収蔵された。

 この頭蓋骨がいつの時代のものかは謎のままだったが、2019年、DNA分析によって7500年前の女性のものと判明した。ジブラルタルで見つかった現生人類の女性としては、最古のものだ。

 さらに、頭蓋骨の持ち主の祖先はイベリア半島のはるか東から来たことも判明した。農耕がヨーロッパに広がっていった時期に、古代人類がどのように移動していったのかを知る新たな手がかりとなる。

1996年にジブラルタル、エウローパ岬の洞窟で見つかった人間の頭蓋骨。(MANUEL JAÉN)

 ジブラルタル博物館の研究チームは、彼女の顔を法医学的・解剖学的に復元することに取り組んだ。破損した骨をコンピュータースキャンし、下顎をはじめ欠損部を再構成した。スキャンによって得られたデータとDNA分析の結果を統合し、6カ月を費やして、印象的で生きているかのような顔を作り上げた。彼女は、ジブラルタルの古い呼び名であるモンスカルペにちなみ、「カルペイア」と名付けられた。

ネアンデルタール人も暮らしていた

 18世紀以降、英領となったジブラルタルは、地中海の玄関口であるジブラルタル海峡を挟んでモロッコが見える場所にある。ここで古代人類の遺跡が見つかるのは、これが初めてではない。高さ430メートル弱の石灰岩が露出した場所には多くの洞窟があり、そこは何万年にもわたり人類の住居となってきた。

 カルペイアの埋葬地は、ジブラルタルがある小さな半島の先端、エウローパ岬にある洞窟で発見された。近くには世界遺産に登録されているゴーハム洞窟群がある。この洞窟にはつい3万2000年前まで、絶滅した人類であるネアンデルタール人が暮らしていた。(参考記事:「アフリカ人にもネアンデルタール人DNA、定説覆す」

空から見たジブラルタル。半島の先端にエウローパ岬の灯台が見える。1996年、近くの洞窟でカルペイアの頭蓋骨が発見された。(JACEK SOPOTNICK/AGE FOTOSTOCK)

次ページ:古代のDNAを抽出すると

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