米ワシントン州で、世界最大のスズメバチであるオオスズメバチが目撃された。現在、この外来種を根絶する試みが行われている。(PHOTOGRAPH COURTESY WASHINGTON STATE DEPARTMENT OF AGRICULTURE)
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 米国にとって外来種であるオオスズメバチが、ふたたび西海岸のワシントン州で見つかった。女王バチと見られる。すでに専門家も確認済みで、同州で見つかったオオスズメバチは昨年末の2匹に続き、これで3匹目となる。

 今回の発見からわかるのは、2019年秋にワシントン州カスター近郊にスズメバチのコロニーができ、そこからたくさんの女王バチが生まれた可能性があることだ。とはいえ、発見場所はかなり狭い地域に限られているため、今後拡散を食い止められる可能性もあると、専門家は言う。

 女王バチは冬の間冬眠するが、晩春に活動を始め、一部は巣を作ることに成功する。

 今回見つかったのはオオスズメバチの死骸。5月下旬、カスター近郊で道を歩いていた人が発見した。ワシントン州農務局の昆虫学者スベン・スピキジャー氏が5月29日に行った記者会見によると、現在進めているスズメバチの追跡作業は、今回の発見によってより緊急性が高まるという。

5月27日にワシントン州カスター近くの路上で発見されたオオスズメバチ。冬を越した女王バチである可能性が非常に高い。(PHOTOGRAPH BY JOEL NIELSON)
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「複数コロニーから数百匹の女王バチが生まれる可能性もあるといいますから、もう少し見つかるのではないかと考えています」と、スピキジャー氏は語った。ソーシャルメディアでは、このハチが「殺人スズメバチ」と呼ばれ、注目を集めている。(参考記事:「殺人スズメバチ」が米国西海岸に上陸、SNS話題」

「冬を越して生き延びていたことがわかったのは残念です。しかし、それで追跡計画が変わるわけではありません。根絶できる可能性は十分あります」とスピキジャー氏は言う。

「殺人スズメバチ」と呼ばれるのは、この虫がミツバチを激しく攻撃すること、また人が刺されると死ぬこともあるからだ。だが、スピキジャー氏はこの言葉は大嫌いだと言い、オオスズメバチについての報道の中に「むやみにセンセーショナル」なものがあることを懸念している。

 専門家によると、最近はスズメバチに対する根拠のない恐怖から、インターネット上で殺虫剤の検索が急増しているという。グーグルでは、5月初旬ごろから「スズメバチを殺す方法」やそれに似た検索が増えている。これはちょうどスズメバチがニュースで報道された時期と重なる。見境なく殺虫剤を使えば、米国在来種のスズメバチや、農作物など植物の受粉を手伝う昆虫にも被害が及ぶ可能性がある。

 スピキジャー氏は、ワシントン州北西部のごく一部の地域を除けば、米国でオオスズメバチについて心配する必要はないという。

次ページ:根絶に向けて捕獲作戦が始動

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