タイタニック号の悲劇を象徴する電信機 深海ロボットで回収?

最後の救難要請を送信した無線機。引き揚げ計画を巡って裁判所が新たな判断を示した

2020.05.25
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参考ギャラリー:海底で眠るタイタニック号、写真18点(画像クリックでギャラリーへ)
北大西洋の海底で眠るタイタニック号の錆びついた船首部分。(PHOTOGRAPH BY EMORY KRISTOF, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 1912年4月14日から15日にかけての深夜の3時間、タイタニック号に搭乗した電信技師が送信したメッセージは多岐にわたる。ある乗客の代わりにニューヨークの友人に送った「こんにちは。今夜の夕食、心はあなたと共に」という軽薄なものから、タイタニック号からカルパチア号に向けての「氷山に衝突した」という取り乱したものや、「大至急救援を。機関室は、ほぼ冠水」という最後の一報まで──。 (参考記事:「強欲企業が生んだタイタニックの悲劇、事故対策は欠如」

 このほど、米連邦判事は、タイタニック号のサルベージ権を有する民間企業が、船内から電信機器を回収することは可能だと判断した。判事は「タイタニック号の忘れ難い損失、生還した人々、そしてこの沈没事故で命をかけた人々が残した遺産に資するものである」と述べた。

タイタニック号の沈没地点
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 米バージニア州東部地区連邦地方裁判所のレベッカ・ビーチ・スミス判事が5月18日に言い渡した同判決は、サルベージ会社「RMSタイタニック」(RMST社)がタイタニックの船体や備品を切断または取り外すことを禁じた、前判事による2000年の判決を修正し、条件付きで認めるものとなった。士官区域にある電信機を引き揚げるためには、船体に穴を開けたり船体の穴を広げたりして、内壁から機器を取り外す必要がある。 (参考記事:「タイタニック号、5500点以上の遺物は誰の手に?」

 多くの考古学者や文化遺産団体が、1500人を超える人々が眠るタイタニックから遺物を引き揚げることに反対してきた。

 米国立公園局水中資源センター長デビッド・コンリン氏は裁判所に提出した文書に、こう書いている。

「ライオンは、博物館に展示されるよりも、アフリカのサバンナで野生のままにいる方が、はるかにいいのです。同じように、タイタニックの電信機もあるがままの所で、その物語を語り、その価値を伝えることが、一番いいと考えます」

2004年のロバート・バラード氏の調査で明らかになった深海に眠るタイタニック号。船首(Bow)と船尾(Stern)は離れ、船尾側は沈没時に大きく破壊したことがわかる。黄色い丸で示された部分が、引き揚げ作業に伴って人為的な撹乱があったとされた箇所。
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