地球最深マリアナ海溝で微生物の群集を発見か

奇妙な岩は微生物マットか、地球外生命のヒント

2020.05.17
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2012年に行われたマリアナ海溝の海底探査で、水深約1万677mのシレナ海淵の露頭で見つかった微生物群集と考えられる繊維状構造物。(PHOTOGRAPH BY KEVIN PETER HAND)
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 有毒ガスが充満する水中洞窟から海底の1億年前の岩石の中まで、地球上のあらゆる過酷な場所で「極限環境微生物」が見つかっている。そして今回、2012年に行われたマリアナ海溝の海底探査「DEEPSEA CHALLENGE(ディープシー・チャレンジ)」の結果から、地球で最も深い海の底にも、多様な微生物の群集らしきものがあることが明らかになった。

 マリアナ海溝の泥の中からは、これまでにも微生物や、エビに似た端脚類(たんきゃくるい)などが見つかっていた。しかし、これらの生物がマリンスノー(海中を沈降する有機物の塊)を栄養源としているのに対して、今回見つかった微生物は、海底の岩石が水と反応してできる化学物質を栄養源としているようだ。論文は2月12日付けで学術誌「Deep-Sea Research I」に発表された。

 海底の岩に張りつくこの緑色のマットは、他の生物には依存していない。そのため、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンケラドスなどの海底にいる生命について考える手がかりにもなるかもしれない。

「地球から何十億kmも離れたところに生命が存在するとしたらどのように生きているのかを、深海の生物は少しだけ見せてくれるのです」と、論文の共著者でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーである映画監督のジェームズ・キャメロン氏はメールでの取材に答えた。「それだけでなく、地球に生命が誕生した40億年前の姿も見せてくれているのかもしれません」(参考記事:「ジェームズ・キャメロン監督(ナショジオ探検家)が世界最深マリアナ海溝に挑む」

 この微生物は、これまでに発見された中で最も深いところにある化学合成生物群集である可能性が高く、水深1万m以上の海底で地質学的な過程で発生した栄養分をエサにしているようだ。今回の論文の筆頭著者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーであるNASAの宇宙生物学者ケビン・ハンド氏は、「地球の海の最も深く、最も暗く、最も高圧の領域で、化学合成によって生きていると考えられる微生物生態系が見つかったことは、エウロパの海の中にも生物がいる可能性があることを示しています」と話す。

 しかし、今回の発見は、海底の画像および水や堆積物のサンプルに基づくものであり、繊維状物質のサンプルを直接採取して裏付けをとる必要があると、ハンド氏や他の専門家は注意を促す。

「彼らは実際にマットそのものを採取したわけではありません」と米ペンシルベニア州立大学の微生物学者ジェン・マカラディ氏も指摘する。なお、氏は今回の研究には参加していない。それでも、このふさふさしたマットは生きている可能性が高いという。

「深くて暗い場所で、よく似たものをたくさん見てきました。なかでもカリブ海の水中洞窟で見た微生物群集にそっくりです」

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