2頭のフロリダパンサーが縄張りをめぐって闘争しているところが、史上初めて動画に収められた。
息子と一緒にシチメンチョウ狩りに来ていたアンドレス・ピス氏が身を隠していたところ、視界の右で何かが動いた。若いオスのフロリダパンサーだった。スマートフォンで動画を撮影し始めるや否や、成熟した別のおとなのオスが「どこからともなく現れ、まるで貨物列車のように若いオスに体当たりしました」と氏は回想する。
苛烈な戦いが続いたが、おとなのオスのほうが優位だった。1分近く取っ組み合ったあと、若いオスは逃げていったが、のちにおとなのオスに殺されたのではないかとピス氏は考えている。
狩猟ガイドであり土地の管理者でもあるピス氏は、3月31日にクルーイストン市近郊、オキーチョビー湖の南西にある私有地で、この出来事を撮影。マイク・エルフェンバイン氏とともに運営するフェイスブックページ「ザ・パンサーズ・オブ・サウス・フロリダ」で動画を共有した。2人は普段からフロリダパンサーの写真や動画をここに投稿している。
前代未聞の動画に映っているのは「種内攻撃」と呼ばれる行動で、2頭は縄張りをめぐって争っており、死に至ることも多い。フロリダパンサーはピューマ(クーガー)の亜種であり、米国の絶滅危惧種に指定されている。種内攻撃は、交通事故に次いで2番目に多く記録されている死因だ。(参考記事:「庭にクーガー? 危険動物を見たと思い込む心理の秘密」)
「こうした映像は初めて見ましたが、侵略的な出会いで何が起こるのかを想像するのに役立ちます」。そう話すのは、フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWCC)でフロリダパンサー班を率いるダレル・ランド氏だ。「体格の大きなほうが圧倒していたように見えましたが、小さな方もかなり抵抗していました」
米魚類野生生物局のパンサー担当者デイビッド・シンドル氏は、この闘争は「フロリダパンサーにとって理想的な生息環境である、適切に管理された私有地で起こりました」とEメールでの取材に答えた。また、この動画は重要な意味を持つ、と付け加えた。
「なぜなら、フロリダ州を象徴する動物の生態が垣間見えるだけでなく、自分たちと同じく捕食者であり、ときに競合相手にもなるフロリダパンサーに同州のハンターたちが抱く畏れと敬意が表れているからです」
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