謎の天体オウムアムア、起源は破壊された星の破片か、研究

太陽系外から飛来した葉巻形の天体、奇妙な形はこうしてできた

2020.04.18
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 オウムアムアは氷の彗星ではなく乾いた岩石で、どちらかといえば小惑星に近い。あまりに小さく暗いので、表面を直接観測することはできない。そのため、回転に伴う反射光の変動をもとに形状が推定された。奇妙な細長い形状であることがわかると、すぐにその起源について推測合戦が繰り広げられた。また、オウムアムアの軌道の観測が進むにつれて、不思議な加速が起きていることもわかった。これは、表面下から噴き出す水蒸気によるものだと考えられた。

 2019年後半の時点でも、オウムアムアの起源はまだ謎に包まれていた。しかしチャン氏は、「私たちのシナリオで、すべての謎を解くことができます」と言う。

宇宙葉巻はこうしてできた

 チャン氏は、米カリフォルニア大学サンタクルーズ校のダグ・リン氏とともに、オウムアムアの起源についての検討を行った。その可能性として浮上したのは、惑星やそれよりも小さい微惑星が、密度の高い、小さな主星の周囲を回る恒星系だ。その恒星系では、主星にかなりの重力があるため、近づきすぎた天体は燃え尽きる前に破壊される。

 チャン氏らは、そのような星のまわりを回る天体として、直径1キロ弱の微惑星、彗星のような氷の天体、スーパーアースのような大型惑星という3種類の軌道をプロットした。

 そこからわかったのは、これらの天体が主星から約35万キロ圏内に入ると、回転が加速して引き延ばされ、主星の重力によってバラバラになることだ。この現象は、天文学の用語で「潮汐破壊」と呼ばれる。小さい天体ほど、主星により近づいてはじめてこの破壊が起こる。そして、天体の組成によっては、破片がオウムアムアのように極端に細長くなって回転することもあるという。このような激しい現象が起こると、多くの破片が星間空間に弾き飛ばされ、二度と戻ってくることはなくなる。

「破片のような天体は、自然にたくさん生まれるものではありません」とラフリン氏は話す。「そのため、潮汐破壊によって自然にこれが起こるという説は、とても興味深く探求しがいがあります。この研究では、その点が徹底的かつ慎重に検討されています」

参考ギャラリー:小惑星、彗星 地球にぶつかったら大変な天体12点(画像クリックでギャラリーへ)
参考ギャラリー:小惑星、彗星 地球にぶつかったら大変な天体12点(画像クリックでギャラリーへ)
2004年5月、青と紫の光を放ちながら宇宙空間を移動する彗星「C/2001 Q4」。この写真では、別名「ニート(NEAT)」とも呼ばれるこの彗星のコマ(頭部)と尾の一部が、まるで無数の星からできているように見える。米国アリゾナ州にあるキットピーク国立天文台が撮影。(PHOTOGRAPH COURTESY T. RECTOR (UNIVERSITY OF ALASKA ANCHORAGE), Z. LEVAY AND L. FRATTARE (SPACE TELESCOPE SCIENCE INSTITUTE), AND NATIONAL OPTICAL ASTRONOMY OBSERVATORY/ASSOCIATION OF UNIVERSITIES FOR RESEARCH IN ASTRONOMY/NATIONAL SCIENCE FOUNDATION)

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