コロナ拡大がようやく鈍化、米初の感染者出たワシントン州

仮設病院と人工呼吸器を国に返却、知事が発した強いメッセージとは

2020.04.14
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米シアトル市センチュリーリンク・フィールド・イベント・センターにできた陸軍仮設病院で、集中治療エリアのナースステーションに座る兵士たち。ワシントン州のジェイ・インスレー知事は2020年4月8日、新型コロナウイルスの感染拡大がより深刻な状況にある州で利用してもらえるよう、仮設病院を政府に返却すると発表した。(PHOTOGRAPH BY TED S. WARREN, AP PHOTO)
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 2020年3月30日、米ワシントン州シアトル市のスポーツスタジアム内に、コロラド州フォート・カーソンの第627陸軍病院からやってきた兵士たちが、次々にパーテーション(間仕切り)を立て、仮設病院をつくり始めた。250床の設置作業は4月5日に完了。だが、わずか3日後の4月8日午後、ワシントン州のジェイ・インスレー知事は、仮設病院を解体し、より必要としている他の州に救命のための設備と人員を送ると発表した。

 新型コロナウイルスとの闘いにおいて、すでに十分な援助を受けていると同知事が発言したのは、たった数日間でこれが2度目だった。4月5日にも、400台を超える人工呼吸器を戦略的国家備蓄に返却し、他の州に回してもらうと発表していた。

 増え続ける死者と広がり続けるウイルスに他の州が苦闘する中、米国で最初に感染者が確認されたワシントン州では、早期の対応が効果を発揮しているようだ。(参考記事:「新型コロナ感染症は「不平等のリトマス紙」なのか」

 インスレー知事の決断はいずれも、州内では医療資源の需要がピークを越えた可能性が高いという、米ワシントン大学の研究グループが4月2日に発表した見通しに基づいている。公立学校やレストランが閉鎖されてから2週間後、住民に外出禁止命令が出された10日後のことだった。

「抑制に向けた知事の尽力と住民の協力のおかげで、想定よりも感染者数が少なく済んでいます」。ワシントン州の新型コロナウイルス対策チームのトップとして知事に助言する元米海軍中将ラケル・ボノ氏はそう発言した。「そのおかげで、より緊急の援助が必要な他の州を助けることができます」

 これは心強いニュースだと、ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)の公衆衛生に関する最高戦略責任者アリ・モクダッド氏は話す。「パンデミック(世界的な大流行)が予想よりも早く終息しうることと、外出をやめれば抑制できることが示されています」

 しかし、知事の発表は新たな疑問を生む。米国で最初に感染が広がり始めたこの州で、最も恐ろしい日々はもう過ぎ去ったのだろうか? 

 それは、ワシントン州の住民がどう反応するかにかかっている。

次ページ:危険はまだ去っていない

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