ワクチンはなぜ重要なのか? その歴史と仕組み

予防接種の概念は2000年前から? 新型コロナワクチンの完成は?

2020.04.14
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試験中のインフルエンザワクチンが、ボランティアに接種される。ワクチンは、致命的な病気の予防に必要不可欠な役割を果たしている。(PHOTOGRAPH BY LYNN JOHNSON, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 2019年12月下旬以降、数万人もの命を奪っている新型コロナウイルス。それに対するワクチンを開発しようと、世界中の科学者が必死になっている。数十の企業や研究機関が先頭に立ち、記録的なペースで開発を進めており、いくつかはすでに臨床試験の第1段階を開始している。

 多くの人がワクチンに期待を寄せているものの、一般の人がワクチンを使用できるようになるまでには、少なくとも1年〜1年半はかかる可能性があると、研究者は警告し続けている。

 ほとんどのワクチンは、病気を治さない。そもそも感染しないようにするためのものだ。ワクチンには病原体(またはその部分)が含まれるが、実際に病気にならないように、不活性化したり弱めたりしたものが使われる。ワクチンを接種すると、免疫系はその病原体について学習し、情報を蓄え、抗体を生み出す。そうして、次に同じ病原体が現れたときに、体がそれを撃退できるようにする。

 ワクチンの誕生はわずか200年ほど前だが、病気が伝染しないように予防接種をするという概念には、もっと長い歴史がある。

ワクチンの発明

 天然痘は、早くから人類にとっての災いの1つであり、ワクチンで根絶された最初にして唯一の病気だ。天然痘を生き延びた人が免疫を獲得することは、紀元前430年までには判明していた。その後の2000年間のある時期に(早ければ紀元前200年頃とも言われる)、人類は予防接種の方法を学んだ。

 中国やインドには古くから、「人痘接種」と呼ばれる方法で天然痘と闘った記録が残っている。天然痘患者のかさぶたをすりつぶし、健康な人の鼻孔に吹き付けたり皮膚に傷をつけて擦り込んだりすることで、意図的に感染させる方法だ。

 人痘接種は、完璧とは程遠いものだった。死亡率が2〜3%もあっただけでなく、接種された人が他の人にうつす可能性もあったのだ。それでも人痘接種は、18世紀初頭までにヨーロッパや南北米大陸で普及していった。

次ページ:ジェンナーの牛痘法が世界を変えた

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