新型コロナ、地震計がとらえたロックダウンの静寂

静けさは測定値に見事に表れた、都市によって微妙な違いも

2020.04.10
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ニューヨークのジェイコブ・K・ジャビッツ・コンベンション・センターの近くに、ロングアイランド鉄道の空っぽの列車が停められている。ジャビッツ・センターは現在、COVID-19の仮設病院として使用されている。(PHOTOGRAPH BY JASON LECRAS)

 人間は、さまざまな音を立てる。道路を走る車、頭上でとどろく飛行機、歩けば足音も響くだろう。これらの活動は地中で無数の小さな振動を生み出す。世界中に張り巡らされた地震計のネットワークは、そうした振動を年中無休で記録している。

 ところが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受け、世界のリーダーたちが市民に自宅待機と社会的距離の確保を要請した結果、こうした日常生活の雑音はかなり小さくなったようだ。

 地面の振動がやむことはこれまでもあったが、ほとんどの場合、ごく短期間だった。しかし、COVID-19は世界の人口密集地帯に長期間の静けさをもたらしている。各地の地震計ネットワークは、その変化をつぶさにとらえていた。

「私たち地震学者には人々の動きが見えるのです」と、ベルギー王立天文台の地質学者トーマス・ルコック氏は語る。

 背景雑音が減少したことには別の利点もある。騒音にかき消されていた現象をより詳しく研究できることだ。

世界各地の静寂

 ルコック氏は、自宅待機が地面の振動に及ぼす影響を家族や友人に見せるため、地元ブリュッセルにある観測所のデータを分析し、Twitterに投稿した。同様のパターンに気付いたのはルコック氏だけでなく、Twitterにはほかのデータも投稿されていた。これらのデータは世界中の科学者の関心を引き、スイス、スペイン、イタリア、英国、中国、ネパール、米国、ニュージーランドなどの都市で騒音低減の追跡が始まった。

「まだ低いままです!」。ルコック氏は4月6日、ブリュッセルの騒音低減が続いていることを上機嫌にツイートした。ルコック氏は前例のない現象だと考えている。「世界規模でこのようなことが起きたのは初めてだと思います」

次ページ:ベルギーでは振動が30~50%低く

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

ビジュアル パンデミック・マップ

伝染病の起源・拡大・根絶の歴史

ささいなきっかけで、ある日、爆発的に広がる。伝染病はどのように世界に広がり、いかに人類を蹂躙したのか。地図と図版とともにやさしく解き明かす。

定価:本体2,600円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加