地球が破綻する理由

未来像が暗たんたる状況になることは、すでに目に見えている

2020.04.03
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米国カリフォルニア州パラダイスにあったセブンスデー・アドベンチスト教会の焼け跡に描かれた絵。地元アーティストのシェイン・グラマーによるものだ。2018年11月、小さな山火事が強風にあおられて大火となり、この町のほぼ全域を焼き尽くした。気候変動で気温が上昇すると雪塊が小さくなり、春の雪解けが早まって乾期が長くなる。それが草木への負担となっている。(PHOTOGRAPHS BY STUART PALLEY)

気候変動への誤った対応が地球を絶えず傷つけている。たとえ技術革新によって人類が生き延びられたとしてもそこに美しい世界はない。

「米国史上、例を見ないユニークな一日が終わろうとしています」。1970年4月22日、米CBS放送「イブニングニュース」のメインキャスター、ウォルター・クロンカイトは厳かにそう言った。この日、地球環境について考える「アースデイ」が初めて開催されたことを祝して、米国人の10人に1人、約2000万人が街頭でデモ行進に参加した。それは、この行事を発案したゲイロード・ネルソン上院議員の期待を、はるかに上回る数だった。

 デモの参加者たちは、強い熱意をもって、時に独創的な方法で、環境への懸念を表現した。歌や踊りに思いを託す者、ガスマスクを着ける者やごみ拾いをする者もいた。ニューヨーク市では、死んだ魚を引きずりながら街を練り歩く人々もいた。ボストンのローガン国際空港では、死んだように横たわるデモンストレーション「ダイ・イン」が行われ、米国の独立宣言が採択されたフィラデルフィアでは、すべての生物種による「相互依存宣言」に署名がなされた。

学ぶべき教訓
ガスマスクを装着してモクレンの花の香りを嗅ごうとする大学生。1970年4月22日、初めて開催されたアースデイの日にニューヨーク市で行われたデモンストレーションの一場面だ。71年の米国政府による調査では、国民の25%が環境保護を重要な目標に挙げているが、69年にそう答えた人は、ほぼゼロだった。(PHOTOGRAPHS BY AP PHOTO)

「アースデイでは、私が望んでいた通りのことが起きました」。ウィスコンシン州選出の民主党議員だった発案者のネルソンは、後にそう語った。「驚くような草の根運動の爆発が起きたのです」

 まだ幼かった私はデモに参加した覚えはないが、ダイ・インや相互依存宣言などが生まれたあの“ユニークな”瞬間が、その後の人間形成に深く関わったことは間違いない。若い頃には、大きな紫色の花柄プリントのベルボトムをはき、雨の中を抗議活動に参加したり、炭酸飲料の缶をリサイクルするようにとクラスメートを説得したりしながら、地球の未来を憂えたものだ。

 大人になった私は、環境問題を専門とするジャーナリストになった。若い頃の関心事を、そのまま職業にしたといえる。森林破壊の進むアマゾン、外来種の影響を受けるニュージーランド、融解の進む氷床の掘削調査をする研究者に同行してグリーンランドも訪れた。

 今では毎年、アースデイに近所の森へハイキングに行くことにしている。オタマジャクシを探し、春先に咲く花々をめでて過ごす。そしてそのたびに、地球の未来に対する不安が高まるのだ。

次ページ:1970年にはなかった「地球温暖化」という言葉

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