聖書博物館が所蔵する「死海文書」16点、すべて偽物だった

なぜこんなことになったのか? 転売した人物を追跡

2020.03.25
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 ノア氏は、これらをカンドーの家族に戻そうとしたが、カンドー家は安値でそれらをノア氏とシャープ氏に売ることで同意した。ノア氏によると、カンドー家とシャープ氏は、この取引で出会ったという。その何年か後に、カンドー家はもう少し大きな創世記の断片を直接シャープ氏に売り渡し、それが後に聖書博物館のコレクションに加えられることになる。

それぞれの形に合わせてカットされたアクリル板に乗せられて、分析を待つ断片。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NGM STAFF)
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 ノア氏もシャープ氏も、買い取った断片は全て本物であると、著名な学者たちのお墨付きをもらったと主張している。

「一体どういうことなんでしょうか。そこが問題です。なぜこんなことになったのか。世界的な学者たちが誰も気づかなかったなんてことがあり得るんでしょうか」と、ノア氏は言う。

 死海文書の学者で2019年にプリンストン神学校を定年退職したジェームズ・チャールズワース氏は、シャープ氏の断片を鑑定したひとりだ。ナショジオへのメールに回答したチャールズワース氏は、過去に鑑定を依頼されたときは、おそらく本物だがクムラン洞窟の死海文書とは書かれた時代と場所が異なるかもしれないと報告したとしている。だが、写真を改めてみると疑問がわいてきたという。「今見直してみると、文字の書き方が怪しいです」

 また、何も書かれていない古代の皮革が取引されているのも見たことがあるともいう。「何も書かれていないから何の価値もないと、ベドウィンに言ったことがあります。あのとき、どうやったら価値をつけられるのか、うっかりアイデアを与えてしまったかもしれません」

 ナショジオは、ウィリアム・カンドー氏にメールで取材を申し込んだが、この記事が書かれた時点で回答は得られなかった。カンドー氏はグリーン氏に7点の断片を売っているが、過去のナショジオによるインタビューで、自分の売った断片は全て本物であると答えていた。

文=Michael Greshko/訳=ルーバー荒井ハンナ

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