地球を守ろうと闘う若者たち

彼らは氷の融解や気温の上昇を目にしながら育った

2020.04.03
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「幼稚園児でも問題だとわかるのに、政治家にわからないなんて、信じられません」
20歳のデラニー・レイノルズは身長157センチ。本人によれば、彼女が60歳になったとき、地元フロリダ州の海面は腰の高さまで上昇しているという。100歳になったら頭の高さをはるかに超えているだろう。(PHOTOGRAPHS BY VICTORIA WILL)

気候変動により世界各地が混乱するなか若者たちは行動を起こし、大人たちに具体的な対策をとるよう求めている。

 グレタの前には、セヴァンがいた。二人の写真はニュース番組や雑誌によく並んで登場する。長い間、若者たちは大人を説得し、気候変動の重要な対策をとらせようとしてきた。最近では、10代のスウェーデンの活動家、グレタ・トゥンベリが警鐘を鳴らしている。カナダのセヴァン・カリス=スズキは、こうした運動の草分けだ。

 1992年、12歳だったセヴァンはブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議に出席した。当時、地球温暖化に関する科学的知識は理解され始めたばかりで、気候科学の権威である「気候変動に関する政府間パネル」も、その4年前に創設されたばかりだった。世界の指導者は子どもの演説に耳を傾けることに慣れていなかった。

 このときの演説により「世界を6分間、沈黙させた少女」として有名になったセヴァンは、破滅が迫っている感覚を子どもならではの鋭さで表し、若い活動家の先例をつくった。「生き方を変えなければなりません」と、セヴァンは各国の代表に訴えた。「未来を失うことは、選挙で負けたり、株取引で損をしたりすることとは、次元が違います」

 2019年9月に米国ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットでグレタが怒りを口にしたとき、その内容はセヴァンの演説と驚くほど似ていた。この27年間、人類の存続に関わる脅威を阻止する対策は、何一つとられなかったと結論づけられても、仕方がないだろう。

 だが情勢は変わりつつある。30年前にはなかった大災害が数と激しさを増し、世界は事の重大さに気づき始めた。2019年、人々は環境問題としては史上最大級の抗議活動を行った。

 数の多さとソーシャルメディアの組織力を利用する若者は、行動を起こすのに格好の立場にある。世界の25歳未満の人口は、全体の5分の2に当たる30億人以上だ。若者の活動は、人種的な平等や銃規制などの社会問題を含む運動に拡大しており、世界中を揺さぶった1960年代後半の社会運動と比較される。

 何百万人もの子どもが、氷の融解や気温の上昇を目にしながら育った。彼らは、政府が行動を起こすのを待つことにうんざりしている。

「僕たちの世代は、気候変動がもたらす危機を、人類が団結するチャンスへと変えています」
シューテスカット・マルティネス
19歳のマルティネスは米国コロラド州で生まれ、メキシコの先住民の伝統の下で育てられた。ヒップホップのアーティストであり、若い環境活動家を養成する団体「アース・ガーディアンズ」のユース・ディレクターも務める。気候変動問題に関して米国政府を訴えている21人の若者の1人だ。(PHOTOGRAPHS BY VICTORIA WILL)

 気候変動の影響を受けやすい米国フロリダ州に住む20歳のデラニー・レイノルズは、何も対策がとられない状況にいら立ちを募らせてきた。「権力をもつ大人の多くは、お金や利益のことばかり考えています。彼らをお払い箱にできるときが来たら、すぐにそうします」

 現在マイアミ大学に通うレイノルズは、海面上昇に関する啓発プロジェクトを立ち上げ、地球温暖化による海面上昇のリスクについてフロリダ州民に説明し、何百回も講演を行ってきた。「幼稚園児でも問題だとわかるのに、政治家にわからないなんて、信じられません」

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