人類が新型コロナを克服する日、「集団免疫」獲得の可能性は

英国は早々と撤退、だが流行が終息する状況の1つ

2020.03.25
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2020年3月3日、英ロンドン地下鉄。乗客が車両に乗り込む中、駅員はマスクを装着している。(PHOTOGRAPH BY BRYN COLTON, BLOOMBERG/GETTY IMAGES)
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 急速に広がる新型コロナウイルスへの対策として、世界中の国々が職場や学校、人が集まる場所を閉鎖し始める中、英国が3月13日に発表した戦略は波乱を呼んだ。

 英国は初め、多くの人が集まるイベントの禁止や移動制限などの厳しい措置を採用しないことを選択した。ウイルスを完全に叩きのめすのではなく、段階的な制限によって抑え込んでいくという戦略に、医療関係者の多くは驚いた。(参考記事: 「新型コロナ、都市の封鎖や移動制限はどうすべき?」

 この戦略は、「十分な数の人が軽く発症し、免疫をつけること」による「集団免疫」の獲得を狙ったものだと、英国政府の首席科学顧問パトリック・バランス氏は同日に英テレビ局スカイ・ニュースで語った。

 もし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるリスクがそれほど高くなければ、ウイルスを野放しにして早々に集団免疫を達成する手もあるだろう。しかし、実際にそうしたシナリオをとった場合、入院や集中治療を必要とする人が大量に発生し、医療サービスの収容能力を超えてしまうことがわかっていた。(参考記事:「新型コロナ、重症化しやすい基礎疾患の致死率は?」

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 英インペリアル・カレッジ・ロンドンは、アウトブレイク(集団感染)で病院がどれだけひっ迫するかを公表した。それを受け16日、英国は突如方針を変え、他人と一定の「社会的距離」を保つ対策を新たに導入。ジョンソン英首相は20日以降、全てのパブ、レストラン、ジム、映画館を閉鎖するよう指示した。

 それでも、集団免疫が新型コロナウイルスの抑制に果たす役割を問う意義はある。それは、ワクチン開発の成否や、あるいは社会的距離をとる措置を解除したときに、再び感染が拡大するかどうかに関係しうるためだ。

次ページ:「白か黒か」の集団免疫

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