最古の「現生鳥類」の化石を発見、6670万年前

カモとニワトリの特徴を併せ持つ「ワンダーチキン」、ほぼ完全な頭蓋骨も

2020.03.24
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偶然の発見

 2000年に「ワンダーチキン」の化石を発見したファン・ディンター氏は、この標本をオランダのマーストリヒト自然史博物館に寄付した。2018年、博物館のキュレーターで論文の共著者であるジョン・ヤハト氏は、脚の骨が見える4個の小さな岩石をフィールド氏に送った。

 フィールド氏が外から見たかぎりでは、岩石には折れた脚の骨ぐらいしか入っていないように思われた。しかし、白亜紀末期の鳥は珍しいので、岩石の中に何が隠れているかを確認するため、高解像度CTスキャンを行ってみたという。

 博士課程に在籍していた学生のフアン・ベニート氏と一緒に「美しく保存された現生鳥類のほぼ完全な3D頭蓋骨」を見つけたフィールド氏は、驚きのあまりよろめいたという。「中生代に生息していた現生鳥類の頭蓋骨が発見されたのは初めてで、その上、化石鳥類の頭蓋骨の保存状態としては、あらゆる年代を通じて最高レベルでした」

アステリオルニスの頭蓋骨化石を3D印刷した実物大模型。持っているのは、英ケンブリッジ大学の古生物学者ダニエル・フィールド氏。(COURTESY OF DANIEL J. FIELD, UNIVERSITY OF CAMBRIDGE)
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 発見の瞬間は、フィールド氏の科学者生活の中で最もワクワクするものの1つだった。研究チームはこの鳥の学名をギリシャ神話に登場するティターン一族の流星の女神「アステリア」からとった。アステリアはウズラに姿を変えたとされているので、恐竜の時代を終わらせた隕石衝突の直前に生きていた鳥の名前にはぴったりだ。

白紙になった鳥の南半球起源説

 近年の発見から、現生鳥類のグループがどのように出現し、地球の歴史上最大の絶滅の1つをどのように生き抜いてきたかが徐々に明らかになってきた。つい最近もニュージーランドと南極で、隕石衝突から間もない時代に生息していた化石鳥類に関する報告があった。

 これまで最古とされていた南極大陸のベガビスをはじめ、現生鳥類の古い化石の多くは南半球で発見されているため、一部の古生物学者は、現生鳥類は恐竜時代に超大陸ゴンドワナの南部から生じたと主張していた。しかし今回、ベガビスよりもさらに古い鳥が北半球で発見されたことで、物語はそう単純ではないことが明らかになった。

「現段階で確実に言えるのは、現生鳥類の地理的起源は謎に包まれているということです」とフィールズ氏は言う。「現生鳥類が地球のどこで生じたかは、今後発見される化石だけが教えてくれるでしょう」

文=John Pickrell/訳=三枝小夜子

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