最古の「現生鳥類」の化石を発見、6670万年前

カモとニワトリの特徴を併せ持つ「ワンダーチキン」、ほぼ完全な頭蓋骨も

2020.03.24
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ティラノサウルスと同じ時代を生きた鳥

「恐竜時代に生息していた鳥について、保存状態の良い頭蓋骨が見つかったのは初めてです」と、今回の論文の筆頭著者である英ケンブリッジ大学の古生物学者ダニエル・フィールド氏は語る。「アステリオルニスは、ティラノサウルスやトリケラトプスが生きていた時代の現生鳥類の仲間がどのような姿をしていたのかをはっきりと見せてくれます」

アステリオルニス・マーストリヒテンシスの頭蓋骨の3D画像。(IMAGE BY DANIEL J. FIELD, UNIVERSITY OF CAMBRIDGE)
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 今回の6670万年前の化石は北半球で発見されたが、これまでに知られている白亜紀の現生鳥類の仲間はいずれも南半球で見つかっていた。南極半島で発見され、2005年に記載された6650万年前のカモに似た鳥「ベガビス・イアアイ」もその1つだ。(参考記事:「恐竜絶滅、なぜ鳥だけが生き延びた?」

 恐竜と同じ時代を生きた鳥類は多いが、その多くは、歯を持つエナンティオルニス類などの原始的な鳥で、陸上に生息するほとんどの大型動物とともに絶滅した。現生の鳥類はすべて白亜紀末期に出現した新鳥類と呼ばれる1つのグループに由来している。(参考記事:「指が異様に長い太古の鳥を発見、新種、前代未聞」

「美しい標本です。白亜紀の新鳥類の標本として、初めて本当に美しいと言えるものです」と、中国の北京にある古脊椎動物・古人類学研究所の化石鳥類の専門家ジンマイ・オコナー氏は称賛する。

 オコナー氏によると、今日の鳥の祖先にあたる白亜紀の鳥の化石のほとんどが「断片的で疑わしいもの」だったが、今回の発見により、恐竜時代に暮らしていた現生鳥類の保存状態の良い化石がさらに発見される希望が出てきたという。なお、氏は今回の研究には参加していない。

「ワンダーチキン」の解剖学的特徴

 アステリオルニスは、ガンやカモなどのカモ目と、ニワトリやシチメンチョウなどのキジ目の最後の共通祖先に近いと考えられる。「キジとカモが白亜紀に枝分かれしたことは以前からわかっていたので、彼らの祖先が白亜紀にいたこともわかっていました」とオコナー氏。「今回ついにそれが見つかったのです」

「現生のニワトリとカモの頭蓋骨は大きく異なっています。アステリオルニスの頭蓋骨は、カモ目とキジ目の最も新しい共通祖先の頭蓋骨がどのような形だったかを初めて教えてくれます」とフィールド氏は言う。

 白亜紀に現れたと考えられているほかの現生鳥類の仲間には、ダチョウ、エミュー、レア、ヒクイドリなどの古顎類(こがくるい)がある。古顎類、カモ目、キジ目は現生鳥類の中ではかなり古くに枝分かれし、その他の鳥たちの多くは隕石衝突後に初めて出現したと考えられている。(参考記事:「鳥類は恐竜絶滅後に爆発的進化した」

「ギャラリー:恐竜はどのように鳥になったか?」(見出しのクリックでギャラリーを表示)

獣脚類恐竜のドロマエオサウルスが太古の鳥ベガビス・イアアイを追う。これは想像図だが、実際にこうした光景が繰り広げられた可能性はある。南極で見つかった6700万年前の化石から、ベガビス・イアアイは現生のカモとよく似ていたことがわかっている。(MÓNICA SERRANO,NGM STAFF;PATRICIA HEALY.イラスト:RAÚL MARTÍN;出典:JULIA CLARKE,UNIVERSITY OF TEXAS ATAUSTIN;MARCELO LEPPE,CHILEAN ANTARCTIC INSTITUTE;JUDD A.CASE,EASTERN WASHINGTON UNIVERSIT)

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