2020年3月11日、スロバキアの首都ブラチスラバにて。新型コロナウイルスの感染拡大に対する予防措置の一環として、防護服を着用した作業員が、ブラチスラバ市運輸会社のバス洗車場で公共バスの車内を消毒する。(PHOTOGRAPH BY VLADIMIR SIMICEK, AFP VIA GETTY IMAGES)
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 人類は5000年近くにわたり、様々な洗浄剤を発明してきた。しかし、感染症を予防するには、せっけんと水という単純な組み合わせが最も強力な手段の1つであることはずっと変わりない。

 それなのに、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような集団感染が発生すると、人々はあらゆる種類の化学洗浄剤を買いに走る。だがその多くは、新型コロナウイルス対策には不要または無効だ。(参考記事:「新型コロナ、ことごとくパニックに陥る理由と対策」

 例えば、店頭から消えている手指消毒剤の中には、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を殺すのに必要な、アルコール濃度が60%以下の商品も多い(編注:60%以上は米疾病対策センター(CDC)の基準で、日本の厚生労働省は70%以上。なお、物の表面の消毒ではCDCも70%以上を推奨)。また、新型コロナウイルスの被害が甚大な国々では、防護服に身を包んだ作業員が、公共の通路やオフィスビル内に漂白剤の溶液を散布している。しかし、専門家に言わせれば、感染拡大の予防に必要かどうかは疑わしい。

 漂白剤の使用は「ハエを叩くのにこん棒を使うようなものです」と英ケンブリッジ大学のウイルス学者ジェーン・グレートレクス氏は話す。そのうえ、漂白剤は金属を腐食するし、吸い込み続ければ呼吸器系の健康問題につながる恐れもある。

「漂白剤を使う表面に汚れが多く付着していた場合、その汚れが漂白剤と反応し、消毒効果が失われてしまいます」と米ジョージア州立大学の環境衛生学者リサ・カサノバ氏は話す。同氏ら専門家は、物の表面を消毒するには、漂白剤ではなく、食器用洗剤のような低刺激性の洗剤を推奨している。

 公衆衛生の専門家がせっけんに立ち返る理由はなんだろうか。新型コロナウイルスが体外でどのように存在し、一般的な物の表面でどれくらい生存し続けるかについて、これまでの研究でわかっていることを知れば、十分に理解できるだろう。

次ページ:物の表面での生存期間は?

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