消毒はせっけんでOK、漂白剤よりいい理由とは、新型コロナ対策

漂白剤は「こん棒でハエを叩くようなもの」と専門家、アルコールがなくても大丈夫

2020.03.23
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 だが、同氏らの実験室での研究には限界がある。階段やバスの手すりなど、人がよく触る場所にウイルスがより多く付着していれば、感染のリスクは高くなる。また環境の条件が、ウイルスの生存期間に影響を与える可能性がある。例えば、紫外線はウイルスを分解することが知られており、湿度が高いと飛沫が空気中を飛びにくくなると考えられている。(参考記事:「新型コロナ、「春に終息」と言えないこれだけの理由」

 モリス氏は、大きな飛沫ほど感染力が強いと明言するものの、今回の研究では、新型コロナウイルスが、飛沫より粒子が小さい「エアロゾル」として最大3時間空気中を漂う可能性があることがわかった。ウイルスを含むエアロゾルは、人工呼吸などで発生する可能性があるため、そのような処置を行う臨床現場で主に懸念される。一方で、野外環境やスーパーのような公共空間で問題になる可能性は低い。

せっけんはなぜ効果的なのか

 モリス氏の研究では、衣類や農産物など、日常的に触れる機会の多い物品は検討されなかった。ただし、米食品医薬品局(FDA)によると、新型コロナウイルスが食べ物を介して感染する可能性があるという証拠はない。

 インフルエンザウイルスを対象にした研究では、衣類や木材のように、ミクロな穴を多くもつ多孔質の物にウイルスを付着させた場合、4時間を超えるとウイルスは検出されなかった。多孔質の物は、ウイルスから水分を奪い、ウイルスの分解を引き起こすからだ。

 とはいえ、何を触ったにせよ、感染につながる前に手からコロナウイルスを除去するには、せっけんと流水で洗い流すのがベストな方法だ。新型コロナウイルスが人間の皮膚を通り抜けて感染することはない。人間の皮膚は弱酸性であり、ほとんどの病原菌が体内に侵入するのを防いでいるからだとグレートレクス氏は説明する。

 せっけんは、その化学的性質により、コロナウイルスのエンベロープをこじ開けて分解を引き起こすため、とても効果的だ。そして、バラバラになったウイルスの断片は水で洗い流される。手指消毒剤も、ウイルスのエンベロープを破壊するので、同様の効果を発揮する。(参考記事:「手洗いの大切さ、発見したが報われなかった不遇の天才医師」

 水道水から感染する心配もないと、専門家は言う。ウイルス汚染があるとすれば、廃水に由来するだろうからだ。CDCによると、新型コロナウイルスは、排泄物からは見つかっているが、実は廃水から検出されたことはない。たとえ廃水中に含まれていたとしても、米国の水道ろ過システムはコロナウイルスを十分に殺せるほど強力だと米ノートルダム大学の環境工学者カイル・ビビー氏は話す。

「水から新型コロナウイルスに感染する可能性は、理論上はありえますが、現実的には心配する必要はありません」と同氏は説明する。

「今、絶対にやってはいけないのは、水道水を恐れて、飲むのをやめたり手洗いを避けたりすることです」(参考記事:「新型コロナ、不安がる子どもに伝えるべきことは」

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文=SARAH GIBBENS/訳=牧野建志

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