消毒はせっけんでOK、漂白剤よりいい理由とは、新型コロナ対策

漂白剤は「こん棒でハエを叩くようなもの」と専門家、アルコールがなくても大丈夫

2020.03.23
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コロナウイルスは脂質の膜を持つ

 新型コロナウイルスは主に、人から人への感染で広がる。感染者とハグや握手をしたり、ウイルスを含むくしゃみやせきなどの飛沫を吸い込んだりして感染する。(参考記事:「感染の原因、私たちはなぜ知らない人と握手するのか?」

 しかし、こうした飛沫は重いため、通常はすぐに地面に落ちる。ウイルスは、落ちた場所に応じて、物の表面で一定期間生存できる。ウイルスが死ぬ前に手で触り、その手で鼻や口を触れば、ウイルスが運ばれて感染する可能性がある。(参考記事:「新型コロナ、重症化しやすい基礎疾患の致死率は?」

 すべてのウイルスは、遺伝物質と、それを包むタンパク質の殻でできている。その外側に、さらにエンベロープと呼ばれる脂質の膜を持つものもあり、エンベロープ・ウイルスという。新型コロナウイルスはその1つだ。

 エンベロープ・ウイルスは、膜のないノンエンベロープ・ウイルス(下痢や嘔吐を引き起こすノロウイルスなど)に比べ、容易に破壊できる。場合によっては物の表面で何カ月も生存可能なノンエンベロープ・ウイルスとは異なり、通常、エンベロープ・ウイルスが体外で生存できるのは数日だけだ。もろいエンベロープを壊せば分解し始めるため、最も不活性化が容易だと考えられている。(参考記事:「エボラにもエイズにもインフルエンザにも効く薬」

参考ギャラリー:新型コロナ、非常事態ベネチアの厳しい現実、写真7点(写真クリックでギャラリーページへ)
ベネチアのリアルト橋を消毒する作業員。20年3月10日、イタリアのコンテ首相は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、イタリア全土に移動制限を適用するという先例のない措置を宣言した。(PHOTOGRAPH BY STEFANO MAZZOLA, AWAKENING/GETTY IMAGES)

新型コロナ、物の表面での生存期間は?

 しかしながら、エンベロープ・ウイルスにもそれぞれ違いがある。そのため、新型コロナウイルスが物の表面でどのくらい生存できるかを解明しようと、世界中の科学者が懸命に研究を行っている。

 3月17日付けで学術誌「New England Journal of Medicine」に発表された研究では、様々な物の表面で、新型コロナウイルスが検出される期間の長さが調べられた。調査の目的は、医療現場に見られるどの物質の表面が、院内感染の発生源になりうるかを突き止めることだったと、論文の共著者で米プリンストン大学の進化生物学者ディラン・モリス氏は言う。

 この研究によると、SARS-CoV-2は、ボール紙の表面では24時間、ステンレス鋼の表面では2日間、ポリプロピレン(硬質プラスチックの一種)の表面では3日間生存可能なことがわかった。

 一方、細菌やウイルスを自然に分解する物質である銅の表面では、わずか4時間後には検出されなくなった。なお、2002〜2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)のウイルスであるSARS-CoV-1と今回のSARS-CoV-2は、物の表面上での生存期間がほぼ同じだった。

 つまり、人混みを避けるためにオンラインで商品を注文しても、もしかすると届いた段ボール箱にウイルスが付着しているかもしれない。ただし、CDCは、物の表面がウイルスの主な感染経路になるとは考えられないと強調している。

 日用品を過度に疑いたくはないが、一般的なアドバイスとしては、商品と自分の手をよく洗うことだと、モリス氏は言う。

次ページ:エアロゾル感染の可能性は?

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