米国が違法フカヒレの一大中継地になっている

中南米からアジアへ大量に輸出されるフカヒレ、経由地の米国で取り締まれるか

2020.03.07
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
米国はフカヒレの主要な生産地でも消費地でもないが、貿易ルート上の位置の関係で、フカヒレ輸送の中継点になっている。(PHOTOGRAPH BY JIM WILSON, THE NEW YORK TIMES/REDUX)
[画像のクリックで拡大表示]

 2020年1月24日、アジアへ向かう1機の貨物機が、給油のために米国のマイアミ国際空港に着陸した。駐機中、貨物室に米魚類野生生物局(FWS)と税関・国境警備局(CBP)の検査官が立ち入ると、18箱の大きな段ボール箱が積んであった。

 検査官が最初に開けた数個の段ボール箱には、合法の野生生物製品が入っていた。だが開封作業を続けると、ある箱の中からフカヒレが出てきた。「そこから先は、どの箱を開けてもフカヒレしか入っていませんでした」とFWSの主任検査官エバ・ララ氏は振り返る。ほとんどの箱に30kg以上のフカヒレが入っていて、合計すると630kgになった。輸送中に押収されたフカヒレの量としては過去最大級だった。

 押収されたフカヒレの枚数は4000枚で、サメ1000匹分に相当する。当初の見積もりでは、そのうちの25%以上が保護されている種類のサメのもので、違法であると思われた。しかしその後、数週間がかりでフカヒレを仕分けし、種の特定作業を行ったところ、じつに約40%が違法だと判明した。ヒラシュモクザメ、クロトガリザメ、オナガザメなどのヒレもあり、商品価値はざっと100万ドル(約1億700万円)に上った。(参考記事:「フカヒレDNA鑑定、乱獲地域を特定」

 FWSは、捜査への支障や模倣犯の誘発を避けるため、積荷の発送元や目的地、荷物のラベルの表記、その他の内容物については明らかにしていない。

 米国はフカヒレの主要な生産地でも消費地でもないが、フカヒレ輸送の「一大」中継地として世界のフカヒレ取引を助長していると、ロンドン動物学会の研究フェロー、デイビッド・ジャコビー氏は指摘する。「捕獲が合法か非合法かを問わず、フカヒレは最終目的地である東アジアに向けて最速のルートで出荷されます」と氏は言う。「米国には世界有数の大規模空港が複数あり、飛行機の便数も運送業者も多いので、仕事を進めやすいのです」(参考記事:「フカヒレ販売禁止に賛否、サメを守れるのか、米国」

 サメが地球上に現れてから約4億年になるが、今日ではサメ、エイ、ギンザメなどの軟骨魚類の4分の1が絶滅の危機に直面している。そして一部のサメに限ってみれば、乱獲などによって個体数は約90%も減少してしまっている。さらに悪いことに、サメは成熟が遅く、子どもを少ししか産まないため、個体数の回復には長い時間がかかる。500年も生きると言われるニシオンデンザメの場合、150歳頃になってようやく繁殖しはじめるほどだ。(参考記事:「約400歳のサメが見つかる、脊椎動物で最も長寿」

次ページ:残虐なフカヒレ漁

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の
会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

unknown(未知の海)

20年以上、世界各地の海の写真を発表してきた水中写真家、鍵井靖章が今回選んだテーマは、見たことのない「未知の海」。232ページ、写真193点の大ボリュームで魅せる水中の絶景を、五つの切り口で存分に味わえます。

定価:本体3,200円+税

  • このエントリーをはてなブックマークに追加