激写:スズメバチを迎え撃つミツバチ

敵の襲撃もなんのその!ミツバチの驚くべき防御法

2020.03.03
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スズメバチから巣を守ろうと、巣の入り口で前脚を上げ、大顎を開くミツバチ。PHOTOGRAPH BY INGO ARNDT

 ミツバチの群れが新たなすみかに引っ越した途端、敵が襲撃してきた。

 襲ってきたのはスズメバチだ。1対1なら、セイヨウミツバチはモンスズメバチの相手ではない。体長が4センチにも達するスズメバチは、その強力な顎で自分より小さな昆虫をいとも簡単にかみ殺してしまう。

 スズメバチの猛攻に、最初の数日間、ミツバチはなすすべがないようだった。「スズメバチの襲撃がこのまま続けば、わが家のミツバチは全滅してしまうと思いました」。ドイツ南部のランゲンにある自宅の庭でミツバチを飼っている写真家のインゴ・アーントはそう語る。

 ところが1週間もすると、巣の入り口近くにミツバチが群れ集まり、防御線を敷くようになった。そしてスズメバチが近づくと、数匹のミツバチがまず飛んでいってタックルし、その後間髪を入れず、多くのミツバチがスズメバチに群がっていった。「蜂球(ほうきゅう)」と呼ばれる行動だ。

ミツバチの行動の理由

「驚くべき防御法だと思います」と語るのは、ドイツのビュルツブルク大学で約25年にわたってミツバチを研究してきた生物学者のユルゲン・タウツだ。この蜂球は強力な武器だが、中心にいるミツバチがスズメバチと一緒に命を落とすこともある。巣を守るための犠牲だ。

 アーントは30年間にわたって野生生物の写真を撮り続けてきたが、昆虫の専門家ではないので、タウツに協力してもらうことにした。

 そうして養蜂家たちが長らく謎に思ってきたミツバチの行動の理由を突き止め始めた。その一つが、これといったメリットもなさそうなのに、ミツバチが巣箱をかじる理由だ。アーントたちはブナの倒木に巣を作ったミツバチを観察するなかで、この行動にそれなりの訳があることを突き止めた。

 「ミツバチたちは巣内部のはがれそうな木片をすべて取り除くんです」とタウツは言う。

 こうすることで、病気の原因になる菌類などの繁殖を防ぐだけでなく、巣の内部をなめらかにして、プロポリスとして知られる樹脂製の混合物が塗りやすくなる。

※ナショナル ジオグラフィック3月号「ミツバチの秘密」では、写真家がとらえた驚くべき野生のミツバチの生態をご紹介ます。

文=ジェイソン・ビッテル/ライター

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