南極の島を50年ぶり調査、ペンギンが半減の可能性

ヒゲペンギンが無数に営巣していた島、巣が半分に減っていた

2020.02.18
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エレファント島西海岸のスティンカー岬にある営巣地へと戻るヒゲペンギン(Pygoscelis antarctica)。名前の由来は、トレードマークであるあごの下の黒い帯模様だ。(PHOTOGRAPH BY NOAH STRYCKER)
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 南極半島のすぐ北に、エレファント島という小さな島がある。その名の通り、ゾウの頭のような形をした島だ。氷に覆われ、猛烈な風が吹き、切り立った崖が多く、氷河もある。そんな環境にも負けず、大量のヒゲペンギン(Pygoscelis antarctica)が毎年、この島の海岸に巣を作る。

「彼らは小さな登山家のようです」と話すのは、米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の大学院生で鳥類学を専攻するノア・ストリッカー氏だ。「90〜120メートルほど登ることもあります」

 しかし、ストリッカー氏ら研究者が2020年1月、調査の一環として11日間にわたりヒゲペンギンの巣を数えたところ、ヒゲペンギンが何万羽も減っているらしいことがわかった。

エレファント島南海岸に集まるヒゲペンギンのコロニー。彼らは今のところ、南極圏の周辺で最も個体数の多いペンギンだ。(PHOTOGRAPH BY NOAH STRYCKER)
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「50年前と比べて巣の数が56%も少なかったのです。これはかなりショッキングなことです」とストリッカー氏は言う。(参考記事:「ペンギンは南極点にいない、極地の動物の意外な真相」

約50年ぶりの調査

 アクセスの困難さから、このエレファント島でヒゲペンギンの調査が行われたのは、前回の1971年以来およそ50年ぶりだ。当時は12万3000個の巣が見つかったが、今回ストリッカー氏のチームが発見できたのは、その半分に満たなかった。

 今回の調査では、個体数が急激に減少した原因までは調べられていない。だが、気候変動との関連性を示す研究もあるとストリッカー氏は説明する。(参考記事:「南極のペンギン、異なる温暖化への適応」

 例えば2016年に発表された研究によると、南極付近の一部海域では、過去40年間でオキアミが最大80%も減少していた。海水温の上昇が原因となった可能性があるという。オキアミは南極の食物連鎖の土台を担っており、ヒゲペンギンや小魚の餌になる(その小魚もペンギンは食べる)。

 衝撃的ではあるものの、現時点ではあくまで暫定的な結果であって、まだ学術誌に発表されたものではないとストリッカー氏は注意を促す。氏はさらに、エレファント島では今もこの魅力的な鳥たちが何万羽も生息しており、国際自然保護連合(IUCN)は絶滅の恐れの低い「低危険種(Least Concern)」に分類していると付け加える。

「とはいえ今回の調査結果によっては、その分類も変わるかもしれません」とストリッカー氏は警告する。(参考記事:「ペンギン繁殖地、今世紀中に最大60%が不適に」

次ページ:毎朝手分けしてペンギンの巣を1つずつ数えた

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