米フロリダの沿岸からミクロネシアまで、世界のマングローブ林の海では、クラゲに触れなくても、海に入るだけでクラゲに刺されてしまうかもしれない。新たな研究で、相手に触らずに攻撃するサカサクラゲのスゴ技が明らかになった。
どうしてそんなことが可能なのだろうか? 2月13日付けで学術誌「Communications Biology」に発表された論文によると、サカサクラゲ(Cassiopea xamachana)が放つ粘液の中に、超小型の「毒入り手榴弾」が大量に含まれているという。
サカサクラゲの仲間は、べたつく粘液を大量に放出して、ブラインシュリンプ(アルテミアとも呼ばれる甲殻類)などの小さな獲物を捕らえる。一部の魚はその粘液で死ぬこともある。さらに、人がサカサクラゲのいる海を泳ぐだけで、露出した皮膚がかゆくなったり、ヒリヒリすることがある。クラゲに触らず、海に入るだけで起きるため、こうした現象は「刺し水」とも言われ、度を超すと有害であることも知られていた。(参考記事:「【動画】微生物が放つ渾身の一撃、ガトリング砲も」)
他のクラゲとは異なり、腹側を上にして海底で暮らすサカサクラゲは、100年以上にわたり研究の対象になってきた。だが、このクラゲの粘液がどのように機能するのかは、これまで解明されていなかった。
「粘液に何かあるはずだということは、わかっていました」と論文の筆頭著者である米スミソニアン国立自然史博物館の海洋生物学者シェリル・エイムズ氏は話す。
エイムズ氏らの研究チームが、高倍率の顕微鏡で粘液を観察したところ、何かが泳いでいるのを見つけ、「カシオソーム」と命名した。カシオソームは、極小のポップコーンのような見た目で、ゼリー状の物質で満たされた核の周りを多くの「刺胞」が覆っている。また、60〜100本の繊毛があり、粘液の中を移動できる。
「それは自律していました」とエイムズ氏は話す。「自ら動き回り、私たちが与えたブラインシュリンプにぶつかると、触れて殺して次の獲物を探しに行くのです。小さなロボット掃除機ルンバのようでした」(参考記事:「シーモンキー、大きな水流を生み出す」)
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