太陽の極域を撮影する初の探査機、宇宙へ旅立つ

太陽探査の黄金時代が来た、多くの謎が明らかになるかもしれない

2020.02.13
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 2つの探査機が太陽の周りを飛び回っている間、ハワイのマウイ島ハレアカラ山の山頂ではDKISTが、さらに詳細な太陽表面の観測を行う。ハッブル宇宙望遠鏡よりもはるかに大きい、約4メートルもある主鏡のなせる技だ。

「宇宙探査機でもDKISTの代わりは務まりません」とミュラー氏は説明する。「可視光の領域で、DKISTは前例のない解像度を持っているのです」

 太陽研究が黄金期を迎えているのは偶然ではないと、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの太陽物理学者ケリー・コレック氏は語る。これら地上の望遠鏡や宇宙探査機は、いずれも数十年にわたる計画と技術開発が頂点に達した結果だ。

「科学技術が追いついたのです」とコレック氏。「今だからこそ、これらの素晴らしいミッションを遂行することができるのです」

パズルのピースは見つかるか

 SolOの太陽観測によって、太陽の磁場サイクルについて、パズルの重要なピースが見つかる可能性もある。太陽の活動が11年周期で活発と不活発を繰り返していることは以前から知られていた。しかし、その仕組みを説明しようとする理論が、物理的観測とどうしても一致しなかった。ミュラー氏によれば、これは、太陽の極域に関する詳細なデータが得られなかったためだ。1990年代中盤から2000年代初期に、ESAとNASAの共同探査機ユリシーズが太陽の極域を垣間見ることに成功したが、非常に遠くからであり、カメラも搭載していなかった。

「太陽の極域がどのように見えるのかはまったくわかっておらず、磁場サイクルの謎を解くにはそのデータがどうしても必要だと考えています」とミュラー氏は語る。「これまでずっとそれが死角になっていました」

 より包括的な研究によって、磁場サイクルや、エネルギーの太陽面への現れ方についても掘り下げられるだろう。新たに見つかった「はぐれ磁気波」から、太陽の表面よりコロナの温度が高い謎が解明されるかもしれない。(参考記事:「太陽嵐がもたらした強度「G4」の磁気嵐とは」

 加えて、太陽がどのように活動しているかより深く知ることができれば、惑星における生命の存在についてヒントが得られる可能性がある。

「なんといっても素晴らしいのは、シンプルに、それが恒星だということです」と言うフォックス氏。「私たちは恒星の仕組みを知ろうとしているのです。その知識は、ほかの恒星にも応用できるでしょう」

参考ギャラリー:太陽嵐の衝撃 写真15点(画像クリックでギャラリーへ)
米国航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星(SDO)が撮影した太陽の極紫外線画像。磁気活動の活発な領域の間に発生するコロナ・ループ(環状のガスの流れ)は明るく輝き、磁場に浮かぶフィラメント(プラズマの塊)は相対的に温度が低く、暗い。(Photograph by NASA Solar Dynamics Observatory (SDO))

文=Nadia Drake/訳=山内百合子

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