太陽の極域を撮影する初の探査機、宇宙へ旅立つ

太陽探査の黄金時代が来た、多くの謎が明らかになるかもしれない

2020.02.13
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太陽研究の黄金時代

 米ハワイ州の地上望遠鏡、ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(DKIST)は、2020年1月末、目を見張るような太陽面のクローズアップ写真を発表した。動画はゆっくりと泡立つ太陽の表面を鮮やかに映し出している。パッチワークのように見えるプラズマの「細胞」は、ひとつひとつがテキサス州(およそ70万平方キロ、日本の約1.8倍)ほどの大きさだ。

ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(DKIST)は、史上最高の解像度で撮影された太陽面の画像を発表した。内部から高温のプラズマが上昇することで起こる激しい対流によってできる、巨大な細胞のような構造が見られる。(Image by NSO/NSF/AURA)
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 2019年12月には、NASAの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが、太陽に接近して収集した最初の観測結果を報告した。学術誌「The Astrophysical Journal」の2020年2月の特集号では、このミッションに関する約50もの新たな論文が発表されている。

 その中には、初めて観測された「はぐれ」磁気波、星間物質の塵が太陽に近づいてガス化している「ダストフリー・ゾーン(塵の穴)」についての最初のヒント、初めて観測された初期の粒子放出といった報告が含まれている。また、太陽風は予想されていたよりはるかに速く横向きに流れており、それが恒星の進化に劇的な影響を与えている可能性があるという驚くべき発見も発表された。(参考記事:「探査機が太陽に接近、驚きの観測結果と深まる謎」

 パーカー・ソーラー・プローブは、太陽を覆う数百万度という超高温のガス層であるコロナに飛び込まんばかりに近づいて観測している。7年かけて徐々に軌道を小さくしていき、最終的には燃える太陽の表面から600万キロメートルまで近づく予定である。

 新探査機SolOはそこまで太陽に接近しないが、パーカーと組んで活動することができるだろう。

 SolOは打ち上げ後、地球と金星の重力を利用して減速する「スイングバイ」によって太陽に近づき、今後5年間で金星の重力を使って太陽の両極が見える傾斜軌道に入る。最初に両極が見られるのは2025年の見込みだ。

「探査機が一周するごとに太陽を見る角度が高くなっていくので、極域について少しずつ謎が解けていくことになるでしょう」とギルバート氏は期待する。(参考記事:「太陽から奇妙な放射線、原因は裏側にあった」

 2つの探査機による高解像度の観測結果を合わせることで、太陽系で最もダイナミックな環境が明らかになるだろう。同じ時期に太陽の周りを回る2機は、太陽風がどのように太陽系惑星間空間に流れていくのかを観測する。SolOに搭載されたカメラで、パーカー・ソーラー・プローブが飛行する様子を撮影することもできる。「大きなシナジーがあるでしょう」とギルバート氏。

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