ピンクのマンタが撮影される、世界でおそらく唯一

ピンク色は本物、遺伝子変異エリスリズムが原因か

2020.02.13
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2015年に発見され、何度か写真に収められているピンクのマンタ。非常に珍しい色だが、生存への悪影響はなさそうだ。(PHOTOGRAPH BY KRISTIAN LAINE)
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専門家も興奮

 米国ルイジアナ州にあるニコルズ州立大学で水中の生態系を研究するソロモン・デイビッド氏は、クルーゾー警部の遺伝子変異はいわゆるエリスリズムではないかと予想する。皮膚の色素が赤くなる症状で、赤ではなくピンクになるケースもある。動物の色素に関する有名な遺伝子変異には、メラニズム(黒)やアルビニズム(白)がある。(参考記事:「水玉模様のシマウマが見つかる、偽メラニズムか」

 ソロモン氏はメールで取材に応じ、「魚の色素に関連した遺伝子変異は珍しくないため、このようなマンタが存在しても不思議ではありません。それでも、本当にクールな外見です」とコメントしている。

 英国に拠点を置くマンタ・トラストのCEO兼共同創設者ガイ・スティーブンス氏も、最も納得できる説明はエリスリズムだと考えている。(参考記事:「第61回 ピンクのクモと透明のゴキブリ、そして…」

 ナンヨウマンタの典型的な体色パターンは3つ。真っ黒、真っ白、白黒だ。最も多いのは白黒で、カウンターシェーディングと呼ばれる配色だ。上から見ると、黒い背中が暗い海に、下から見ると、白い腹部が太陽に照らされた水面に溶け込む。この配色によって、サメなどの捕食者から身を守ることができると広く考えられている。

 それでも、スティーブンス氏は、クルーゾー警部の珍しい体色が生存や安全を脅かすことはないと考えている。ナンヨウマンタは体が大きいためだ。1トンを優に超える個体もいる。(参考記事:「【動画】マンタも友情を築く、実は海の社交家?」

「彼らは生まれたときから大きく、最初の数年で急激に成長します。彼らを襲うことができるのは、最大級の海洋捕食者くらいです」

 スティーブンス氏は言う。「自然は驚きに満ちています。次は青いマンタを探さなければ」

参考ギャラリー:一度は訪れてみたい、世界のベスト・ダイビングスポット21選(画像クリックでギャラリーへ)
米ハワイ州コナの海底から見た幅6メートルほどのマンタ。(PHOTOGRAPH BY NATURE PICTURE LIBRARY, ALAMY STOCK PHOTO)

文=BETHANY AUGLIERE/訳=米井香織

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