大地震の被害、クジラの群れにも、初の研究結果

マッコウクジラの餌場に打撃、津波が発生したNZのカイコウラ地震

2020.02.04
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マッコウクジラは、イカを求めて深さ1000メートル近くまで潜ることが知られている。最長で90分間息を止められる。(PHOTOGRAPH BY FLIP NICKLIN, MINDEN PICTURES/NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 大きな地震によって、マッコウクジラ(Physeter macrocephalus)がその後1年間にわたり、餌を取る行動を変化させていたことが判明した。地震が海洋哺乳類の群れに与える詳しい影響を初めて明らかにした研究結果だ。論文は先日、学術誌「Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers」に発表された。

 2016年11月、マグニチュード7.8のカイコウラ地震がニュージーランド南島を襲い、死者2人と数十人の負傷者が出た。およそ1.5mの津波も発生し、海面下では、カイコウラ海底谷沿いにすむ多様な生物を押し流し、生態系を激変させた。大規模な海底の地すべりは、海を濁らせただけでなく、生物たちを一気に数百キロかなたへ流し去った。これによっておそらく、生態系全体の構成が変化したと考えられる。(参考記事:「3.11津波、巨大化の原因は滑りやすい粘土層であることを解明」

 その結果、マッコウクジラは、餌を見つけるために以前よりも深く、長く潜らなければならなくなった。これはクジラの行動における「大きな転換」だと、ニュージーランド、オタゴ大学の海洋生物学者リズ・スルーテン氏は言う。(参考記事:「動物大図鑑:マッコウクジラ」

 スルーテン氏は地震発生当時、論文の筆頭著者である博士課程の学生マータ・グエラ氏と共に、カイコウラでマッコウクジラの研究をしている最中だった。彼らはこのとき、国際自然保護連合(IUCN)によって危急種(vulnerable)に指定されているマッコウクジラに、大規模な自然災害がどのような影響を与えるかを調べるまたとない機会だと考えた。

「わたしたちは、たまたまちょうどいいときに、ちょうどいい場所にいたのです」。論文の共著者で、オタゴ大学海洋科学部の上級講師ウィル・レイメント氏はそう語る。「こういったことは前もって計画できるものではありません」

【動画】マッコウクジラの潜水

 地震が陸上の動物に与える影響に関しては、これまで多くの記録が残されてきた。しかし、水中で何が起こるのかについては、あまり知られていない。例えば、カリブ海のサメに関する最近の研究では、ハリケーンの最中、彼らが深いところまで潜って、荒れ狂う海面付近を逃れていることが明らかになった。

 こうした研究は政府機関にとっても重要だと、オークランド大学の海洋哺乳類生態学者、ロシェル・コンスタンティン氏は述べている。漁獲割当量の検討で、近年の地震を考慮する可能性があるからだ。

次ページ:食物連鎖全体に影響

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