米海洋大気局(NOAA)と米航空宇宙局(NASA)が1月15日に発表した報告書によると、2010年代は140年間の観測史上、最も高温な10年間だった。また、2019年は観測史上2番目に暑く、海水温が最も高い年だったことも明らかになった。報告書を作成した科学者たちは、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出が、止まらない地球温暖化の原因だと指摘している。
気温上昇が数々の自然災害を引き起こしたことで、人類はついに気候変動の現実を直視せざるをえなくなった。温室効果ガスの排出量を減らすために今すぐ行動しなければ、事態がますます悪化するおそれがあることが、今回の研究で改めて示された。(参考記事:「地球が「臨界点」超える危険性、気候科学者が警鐘」)

この10年で、世界の多くの人々が厳しい現実を悟った。つまり、気候変化は今まさに起きていて、おそらく今後はるかに悪化するだろう。
2010年代は、甚大な自然災害が相次いだ。大型ハリケーンが襲った地域は一変し、残された傷跡はまだ癒えていない。ますます強烈になる熱波は、各地に危険な暑さをもたらした。森林火災は広大な土地をまたたく間に焼け野原にした。
観測記録は次々と塗り替えられていった。年間平均気温の最高記録も、年間平均海水温の最高記録も、北極の海氷面積の最小記録も更新された。
こうした変化の背後にあるものは明らかだ。主に人間が化石燃料を燃やすせいで、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇し、そのガスが地表付近の熱を逃がさないことで、地球全体を温める。そうして上昇した気温は、信じられないほど複雑な結果をもたらす。海洋、大気、土壌、岩石、森林、そして地球上のすべての生き物に段階的に影響が及んでいくからだ。(参考記事:「化石燃料生産量、2030年にパリ協定目標値の220%」)
「本当にひどい10年でした」と米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の気候政策の専門家リア・ストークス氏は言う。「次の10年は、これほどひどくないものにしましょう」
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