変わるアフリカのサファリ 旅人をひきつける理由

アフリカ大陸では、昔ながらのサファリが減っている。現在の5つのトレンド

2020.01.14
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ルワンダの火山国立公園は、残り少なくなったマウンテンゴリラ保護区のひとつ。近隣にある「シンギタ・クウィトンダ・ロッジ」は、生息地の再生活動を通じて、絶滅の危機に瀕するこの動物の保護に貢献している。(PHOTOGRAPH BY CHRIS WHITTIER)
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 かつて、アフリカのサファリと言えば、大型の野生動物を狩ったり、男性のガイドについてカメラを手に歩き回ったりすることだった。だが、近年の状況はまったく違う。新しいタイプの自然保護地域や、女性が主導するツアーが登場し、人気となっているのだ。 (参考記事:「アフリカの国立公園:動物と大自然が繰り広げるドラマ」

 今日のサファリの目的は自然保護にある。それは地元のコミュニティにとっても、地球にとってもすばらしいことだ。アフリカのサファリに、未来がやって来たのだ。

「ケニアのナボイショなど、地域の住民たちが関わるコンサーバンシー(民間が自然保護を目的に管理する区域)が登場したことが重要な転換点でした」と語るのは、アフリカのエコツーリズムに詳しいジュディ・ケファー=ゴナ氏だ。「以前は主にポーターや料理人として働いていた地元の人々が、保護活動のパートナーやリーダーになっていったのです」。ケニアにあるコンサーバンシーは、今では総面積約6万平方キロにおよび、クロサイなど特に希少な動物たちの保護に携わっている。

 各国政府が国立公園の管理に苦慮する中、NPO「アフリカン・パークス」などの民間団体もこうした地域を管理する活動を始めている。同団体が設立されたのは、経済発展と貧困緩和に焦点を当て、アフリカの国立公園と、そこに生息する野生動物を守るためだ。(参考記事:「アフリカの国立公園:動物と大自然が繰り広げるドラマ」

 例えば、中央アフリカに位置するチャドのザクーマ国立公園は、アフリカン・パークスの成功事例の一つだ。崩壊寸前の状態だった同公園が、今では野生動物に出合える場所として高い評価を得ている。

1■女性たちの活躍

 アフリカ初の女性大統領であるリベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ氏から、ケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイ氏まで、これまでアフリカには数多くの力強い女性リーダーがいた。現在のサファリ産業も例外ではない。今、新世代のアフリカの女性たちが、サファリ産業のジェンダー規範に挑んでいる。

「女性には優秀なガイドになる技量がないと、決まって男性たちは言いました」。こう語るのは、ボツワナの「チョベ・ゲーム・ロッジ」で、アフリカ初の女性だけのガイドチームを率いるチェピソ・ビビアン・ディフプ氏だ。「でも、わたしの経験から言えば、女性はこの仕事に向いています。女性は概してコミュニケーション能力が高く、旅行者が何に興味を持っているかによく気が付き、度胸があり、常にもっと学びたいという意欲に満ちているからです」

「私がガイドとして目指すのは、サファリに特色があり、学ぶこともあり楽しいサファリ体験をしてもらうことです」。サファリ会社「マギーズ・ツアー・カンパニー」の創業者、マギー・ダンカン・シンベイエ氏の言葉だ。ちなみに同社は、アフリカの女性が立ち上げた数少ない会社の一つでもある。「わたしは昔から自然が大好きで、アフリカの植物や動物にとても詳しくなりました」。彼女は、タンザニアでサファリガイドとして働いたことをきっかけに、地域NGO「デア・ウィメンズ財団」も設立し、専門的なキャリアを目指す少女や女性の後押しもしている。

2■地域住民の力

 アフリカの先住民たちは、長い間、自然と共生してきた。2012年の国連「地球大賞」を受賞したマサイ族の長老、サムソン・パラシマ氏は、「わたしたちは、キリマンジャロのそばの先祖伝来の土地に、マサイ自然保護トラストを設立しました。その目的は、より直接的かつ有意義な手法によって自然を保護し、ここを訪れる人々にマサイの伝統的な生活様式を紹介することです」。パラシマ氏は、同トラストの議長を務めている。

ギャラリー:ケニアやナミビア、アフリカの自然保護区や国立公園に暮らす野生動物たち 写真7点(画像クリックでギャラリーへ)
鋭い牙を突き合わせる、ケニア、マサイマラの保護区「ナボイショ・コンサーバンシー」に生息する雄ゾウ。密猟者にとって象牙は魅力的な獲物となるが、同保護地域では、密猟と野生動物製品の違法所持の根絶を目標としている。(PHOTOGRAPH BY ANNE FARRAR, NATIONAL GEOGRAPHIC)

次ページ:観光資源の持続可能性を重視

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