太陽に接近するNASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」のイラスト。2018年に打ち上げられたこの探査機は、太陽に最も接近した人工物となった。(ILLUSTRATION BY NASA/JOHNS HOPKINS APL/STEVE GRIBBEN)
[画像をタップでギャラリー表示]

 太陽は数十億年にわたり、コロナと呼ばれるエネルギーの渦の中に秘密を隠してきた。コロナは、磁気を帯びた100万℃のプラズマからなる太陽上空の大気層だ。想像を絶する高温で、ときおり猛威を振るうため、こんな場所に近づこうとする探査機は過去にはなかった。

 だがこのほど、NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が、太陽を周回しながら徐々に接近してゆく先例のないミッションを成功させた。12月4日付けの学術誌「Nature」に、その最初の観測結果を報告する4本の論文が発表された。探査機はこれまで太陽に3回接近し、コロナを観測してきた。予想外の発見があったほか、太陽をめぐるいくつかの謎をすでに解きつつある。

コロナの謎に挑む

「どの探査機にもできなかった活動をしています」と米国立大気研究センターのサラ・ギブソン氏は言う。「すばらしいデータが得られています。次に何がわかるのか、本当に待ち遠しいです」(参考記事:「【図解】NASA、太陽“かすめる”探査機を投入へ」

 太陽を近くで観測することで期待されているのは、太陽物理学の根幹にある謎を解決したり、「コロナ質量放出」という有害な爆発的現象の予測精度を高めることだ。コロナ質量放出は、太陽から危険な高エネルギー粒子が大量に放出される現象。これが地球に向かうと、中緯度地域にオーロラが出現したりする一方で、通信衛星を故障させたり、送電網を破壊したり、さらには宇宙飛行士に致命的な影響を及ぼす可能性もある。(参考記事:「太陽嵐でパソコンのデータが消失する?」

「宇宙からくる危険というと、恐竜を絶滅させた隕石のことを想像する人が多いでしょう」と論文著者である米プリンストン大学のデイビッド・マコーマス氏は話す。「けれども私たち現代人にとっては、大規模な宇宙天気現象が発生してテクノロジーに影響が出ることのほうが、はるかに大きなリスクです」(参考記事:「太陽嵐の危険度、場所により100倍も差、米国」

次ページ:新鮮な太陽風を観測

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    記事が全て読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

宇宙の真実

地図でたどる時空の旅

宇宙の今が全部わかる!太陽系の惑星から宇宙の果て、さらに別の宇宙まで、どのような構造になっているのか、なぜそのような姿をしているのかを、わかりやすく図解で解き明かす。

定価:本体1,400円+税