農作物をよりタフに、世界で野生種探し活用へ

未来の食料供給の鍵、気候変動に備え遺伝子の多様性を確保、報告書

2019.12.06
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米カリフォルニア大学デイビス校で新たな品種開発中のヒヨコマメ。(PHOTOGRAPH COURTESY UC DAVIS, CROP WILD RELATIVES)

 バンバラマメは落花生のように地下に実をつける豆類だ。西アフリカ以外ではほとんど知られていないが、厳しい気候ややせた土壌でも育ち、タンパク質を豊富に含む。温暖化が進む地球で、人類を救う農作物と期待され、世界中で植物を探すプロジェクトのリストに優先的に載せられた。

 グローバル作物多様性トラストなどが運営するこのプロジェクト「作物の近縁野生種(Crop Wild Relatives)」では、人類の安定的な食料確保に欠かせない28種の作物について、近縁な野生種の種子を集めることを目指している。これは、食料の供給を守ると期待される作物の遺伝子の情報を、より充実させるためだ。すると、異常気象や病害に強い農作物を開発できる可能性が高くなる。(参考記事:「遺伝子研究でわかった植物の進化の驚くべき仕組み」

 2013年から2018年までの6年間で、アンデスの山岳地帯から地中海の島まで、プロジェクトは100人以上の科学者を世界各地へ送り出した。彼らは25カ国に足を運び、厳しい原野にひっそりと生き残る植物のサンプルを4644採集。目標の80%にあたる371の種および亜種を探し当てたことが、報告書『A Global Rescue』で12月3日に発表された。

 未来の食材探しは、急を要する任務だ。食料危機はすぐそこまで迫っている。気候変動が原因とされる洪水や干ばつは、既に食料の供給と価格に影響を及ぼし始めていると、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は警告している。(参考記事:「2050年、50億人が食料と飲料水の危機に直面する」

 今後30年間で、世界の農作物の生産量は最大30%減ると推測する研究もある。水不足はさらに事態を悪化させ、私たちが摂取するカロリーの約半分を占める小麦、トウモロコシ、米の供給が脅かされようとしている。(参考記事:「2050年の日本の食料自給率は良くて5割」

 これらの3品目もターゲットに含まれた。他にも、ガラスマメやシコクビエなど、原産地以外では聞いたこともないような珍しい作物に加えて、大麦、ナス、ニンジン、調理用バナナもリストに記載された。

次ページ:長く栽培すると作物は弱くなる

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