「ごみ箱」分類群にいた翼竜、研究で新グループに

人気ドラマから命名「ターガリエン家のドラゴン」

2019.11.29
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新たな名を授かった翼竜ターガリエンドラコの想像図。(ILLUSTRATION BY VITOR SILVA)
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 35年前にドイツで発見され、よくわからないまま分類されていた翼竜が、最新研究で新たな名を授かった。

 学術誌「Historical Biology」に11月18日付けで発表された論文によると、黒っぽい骨をもつその翼竜は、ターガリエンドラコ・ウィーデンロティ(Targaryendraco wiedenrothi)と命名された。人気テレビドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」に登場する架空の一族、ターガリエン家にちなんだ名前だ。

 研究チームはさらに、近縁と考えられる6種類の翼竜を、ターガリエンドラコに近いグループとして分類しなおした。この系統のメンバーは、翼開長が3~8メートルあり、口が際立って細く、その先端から歯が前に向かって突き出ていた。

 このグループの翼竜が発見された場所は、イングランド、米国、ブラジル、オーストラリアと、広範囲にわたっている。「いずれの種も、浅い沿岸環境で見つかりました。おそらく魚を食べていたのでしょう。顎が極端に細いことが、共通する大きな特徴です」と、ブラジル、ABC連邦大学の古生物学者で、研究を率いたロドリゴ・ペガス氏は話す。

 今回のような分類の見直しは、翼竜の理解が近年大きく進んだことを示している。新しい化石の発見と、すでに博物館にある化石を分析・比較する新たな取り組みが功を奏したと、ブラジル、エスピリト・サント連邦大学の翼竜専門家タイッサ・ロドリゲス氏は話す。ロドリゲス氏は今回の研究には関わっていない。(参考記事:「新種の翼竜を発見、カナダ、「巨大」には異論も」

「空飛ぶ爬虫類である翼竜は、白亜紀の数千万年にわたって生きていました。ターガリエンドラコの命名は、その中の見過ごされていた系統を見出したものです」とロドリゲス氏。

参考ギャラリー:頭が大きすぎる?史上最大の翼竜ほか5点(クリックでギャラリーページへ)
米国ミネソタ州の造形スタジオで制作中の等身大のケツァルコアトルス・ノルトロピ(Quetzalcoatlus northropi)の模型。体高はキリンほどもあったと考えられていて、空飛ぶ動物としては史上最大だ。
PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK

よくわからない種を放り込む「ごみ箱分類群」

 1億3000万年前、ターガリエンドラコは恐竜と同時代の空を舞っていた。化石が発見されたドイツの地方は、当時、温かく浅い海が広がる海岸線だった。

 見つかった化石は、肋骨と翼の一部、そして顎だった。少ないと思うかもしれないが、ドイツで発見された同時代の翼竜が極めて断片的なのに比べれば、この標本はよく見つかっている方だ。これらの骨から、ターガリエンドラコが細長い口吻と鋭い歯をもっていたことが判明。海面近くから魚にさっと食いつくのにうってつけの形だった。

「翼は長くて幅が狭く、飛びながら魚を捕らえる現生の鳥やコウモリに特有の形です」とペガス氏。

 アマチュアの化石ハンター、クルト・ヴィーデンロート氏がこの化石骨を見つけたのは1984年。場所はドイツ北部、ハノーバーに近い粘土採掘場だった。化石周囲の鉱物の変化により、黒っぽい色をしていた。ヴィーデンロート氏は1990年、シュツットガルトにある自然史博物館に標本を寄付。ここで化石を分析した結果、翼竜のグループであるオルニトケイルスの新種とされ、オルニトケイルス・ウィーデンロティ(Ornithocheirus wiedenrothi)と名付けられた。

 ところが、新たな翼竜が次々と発見され、科学者たちの理解も進んでくると、オルニトケイルスと分類されていた種の一部は近縁ではなく、むしろ別の種類の翼竜であることがはっきりしてきた。(参考記事:「翼竜の新種を発見、名前はフェロドラコ(鉄の竜)」

次ページ:長い間「ごみ箱分類群」に入れられていたが

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