深刻な感染症、森林破壊のせいで増加、研究

マラリア、ライム病、ニパウイルス…新たな感染症が流行するおそれも

2019.11.28
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牧畜のために伐採されたアマゾン横断道路沿いの熱帯雨林。こうした伐採は、マラリアなどの感染症の蔓延につながることが新たな研究で示された。(PHOTOGRAPH BY RICHARD BARNES, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 1997年、インドネシアの森の上空は煙に覆われていた。農地を作るための火が、干ばつの影響によって、日本の本州の半分を超えるほどの広さに燃え広がったのだ。煙のせいで木々は実をつけることができず、これを主食とするオオコウモリは食べ物を求めて他の土地へと飛び去った。

 このときオオコウモリと一緒に、ある病気も森の外へ出た。

 オオコウモリがマレーシアの果樹園に住みついてまもなく、近隣地域のブタに病が広がりはじめた。原因はおそらく、オオコウモリがかじった果実を食べたせいだと報告された。(参考記事:「エボラウイルスの感染源に意外な動物」

 病気は養豚農家の人々にも感染した。1999年までには、265人が重度の脳炎を起こし、105人が死亡した。ニパウイルスの人への感染は、このとき初めて確認され、以後、東南アジア全域で流行を繰り返している。

 森林伐採が急速に進行する地域では、通常は野生生物の間でのみ発生する感染症が人間にまで広まる例が数多く見られる。森林破壊の結果として、ニパウイルス、ラッサウイルス、マラリアやライム病を引き起こす寄生虫など、深刻な病を引き起こす病原体が人間にも広まっていることを示す科学的証拠は、この20年間で数多く見つかっている。(参考記事:「人と動物を襲う感染症」

 アマゾンのほか、アフリカや東南アジアの一部地域では、今も畑を作るために広大な森が焼かれており、専門家らは周辺地域に住む人々の健康についての懸念を表明している。また、次の感染症の世界的流行が、世界各地の森林から始まる恐れもあるという。

「森林破壊が伝染病を拡散させる強力なきっかけになることは、十分な証拠に裏打ちされた事実です」。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校地球研究所の疾病生態学者、アンディ・マクドナルド氏はそう語る。「人間が森林環境を破壊して生物のすみかを多く奪うほど、感染症の流行が発生する状況を作り出してしまう可能性は高まります」

次ページ:アマゾンの森林破壊がマラリアの拡大に重大な影響

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