庭にクーガー? 危険動物を見たと思い込む心理の秘密

無害な動物を見て危険な生物と勘違いした経験は誰しもある。どうしてなのだろう?

2019.11.25
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米ワイオミング州グランド・ティートン国立公園付近で、トレイルカメラが撮影したクーガー。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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「お母さん、クーガーよ。気をつけて!」。2019年6月、米テネシー州ノーレンスビルに住むファレン・マリー・ラモスさんは、家の前の道に車を入れようとしていた母親に叫んだ。

 すると明るい褐色の大きな動物が、林へと逃げ去った。ラモスさんはすぐに写真を撮ったが、ピントが合わなかった。あの動物はボブキャット(北米に生息するヤマネコの仲間)だったのか、それともクーガー(ピューマとも呼ばれる大型ネコ科動物)だったのかは今も不明だ。というのも、テネシー州のクーガーは絶滅しているからだ。

 ラモスさんがフェイスブックの仲間のグループにクーガーと思われる動物の写真を投稿すると、テネシーのクーガーの再発見ではないかと話題になった。そこでラモスさんは、ミネソタ大学の野生生物生態学者ミシェル・ラルー氏に写真を送ることにした。

 北米のネコ科動物を研究するクーガー・ネットワークの代表でもあるラルー氏は、ツイッター上で毎週金曜日に「クーガー・オア・ノット(クーガーか、別の動物か)」というゲームを開催している。「#cougarornot」というハッシュタグを付け、誰かが送ってきたネコ科動物の写真を投稿する。フォロワーは、それが何の動物なのかを挙げる。その後、ラルー氏が正解を発表するという具合だ。

「私のところに送られてくる写真のほとんどがボブキャットです。その次にイエネコ。時々イヌやシカの写真が紛れ込んでいることもありますよ」と、ラルー氏。クーガーかどうかは、大きさでわかるという。体長が90~150センチで、尾の長さは60~90センチほど。#cougarornotゲームを始めてから5年になるが、本物のクーガーの写真は数枚しかなかった。ちなみに以下の写真が、その中の1枚だ(ラモスさんの写真は、結論が出なかった)。(参考記事:「ボブキャット:滅多に姿を見せない野生ネコ家族と過ごした夏 写真12点」

【クーガー?それとも別の動物?】 美しい尾をした本物のクーガー

 20世紀初頭、米国では乱獲のためクーガーが絶滅寸前に追い込まれ、一時は西部とフロリダ州にわずかに生息するまでに追い込まれた。1960年代になると、狩猟規制と管理強化に加え、オジロジカなどエサとなる動物が爆発的に増加したことで、クーガーの個体数は回復し、現在は米国西部に3万頭が生息するとみられている。ちなみに、フロリダにはやはり絶滅危惧種のフロリダパンサーも生息している。

 現在、米国中西部や東部に定着するクーガーはいない。しかし、時々群れをはぐれたオスが1匹で遠く離れた土地へ迷い込むことはある。実際、米国北部のサウスダコタ州ブラックヒルズから中央部のミズーリ州まで移動したクーガーも確認されている。

 米国人にとっては、クーガーは珍しい動物だ。ラルー氏がtwitterでゲームを始めたのも、クーガーのことをもっとよく知ってもらいたいとの思いからだ。 (参考記事:「【動画】子は母から学ぶ ピューマの知られざる生活」

 ところで、この先もクーガーを目撃する機会は増えていくと考えられている。他の肉食動物のように、クーガーも人間が多く住む環境で生き抜く術を学ぼうとしているためだ。「P-22」と名付けられたオスのクーガーは、ハリウッドヒルズのすぐ近くでくらしており、人間と遭遇する機会も増えている。 (参考記事:「ロサンゼルスの住宅地にクーガーが出没」

「クーガーは健全な生態系の一部です。そして、実際にクーガーと遭遇することが、いかに珍しいことかを知ってもらえれば、不安に感じることが減ると思います」

【動画】クーガーがネコ科の「雪男」と呼ばれる理由(解説は英語です)

次ページ:認知バイアスが幸運を生む?

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