太古の南極に羽毛恐竜がいた、初の証拠を発見

羽毛は体を温めるために進化した可能性も

2019.11.20
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 大きさから考えれば、羽毛の持ち主はおそらくドロマエオサウルス科(ヴェロキラプトルやデイノニクスを含む足の速い肉食恐竜)などの小型恐竜だろう。オーストラリア南部では、細長い口吻をもつウネンラギアと呼ばれるドロマエオサウルスの仲間の化石が見つかっている。これは南米でよく見つかる恐竜で、魚を食べていた可能性がある。だとすれば、これに似た羽毛恐竜が白亜紀に湖のほとりで食べものを探していたとしても、つじつまが合う。

 メルボルンにあるスウィンバーン大学の古生物学者スティーブン・ポロパット氏は、「湖にはたくさんの魚の化石があるので、食べものには困らなかったはずです」と言う。

季節によって体色が変わっていた?

羽毛の化石からは、メラノソームと呼ばれるメラニン色素を貯蔵する細胞小器官も見つかっている。そこから、黒や灰色や茶色、または濃い色の縞模様をした恐竜だったことが考えられる。(参考記事:「始祖鳥の翼は黒かった」

 ポロパット氏は、極地で暮らす動物を考えれば意外なことだと言う。白い雪が積もる環境では、黒っぽい体色はカムフラージュにはならないからだ。現在、寒冷地に生息するライチョウのように、季節ごとに色を変えていた可能性も考えられるという。(参考記事:「冬毛の動物を絶滅させない方法、研究者が提言」

「しかし、白亜紀の南極はそこまで寒くなく、単に白っぽくなる必要がなかっただけかもしれません」

 この謎を解くには、さらに多くの化石が必要になる。リッチ氏は、中国東北部で見つかった非常に保存状態のよい羽毛恐竜の化石のように、やがてクーンワラからも恐竜や鳥の完全な化石が出土するのではないかと期待を寄せる。(参考記事:「4枚の羽根と長い尾を持つ羽毛恐竜」

「実際にここオーストラリアで羽毛恐竜の骨格が見つかれば、すばらしいことだと思います」とポロパット氏は言う。「私たちが知るかぎり、その可能性が高いのはクーンワラなのです」

参考ギャラリー:恐竜はどのように鳥になったか?(2018年5月号)
参考ギャラリー:恐竜はどのように鳥になったか?(2018年5月号)
細長い翼とぼんやりした羽毛が残る原始的なアマツバメの化石。ドイツの4800万年前の地層から見つかった。アマツバメとハチドリは、白亜紀末の大量絶滅の時代から数百万年後に出現したと思われる共通の祖先をもつ。PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK,撮影場所:SENCKENBERG NATURAL HISTORY MUSEUM,FRANKFURT,GERMANY

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文=JOHN PICKRELL/訳=鈴木和博

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