太古の南極に羽毛恐竜がいた、初の証拠を発見

羽毛は体を温めるために進化した可能性も

2019.11.20
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羽毛の持ち主は?

 論文で取り上げられる羽毛はすべて、オーストラリア南東部、メルボルンの南東約150キロのところにあるクーンワラという場所で見つかった。1960年代に道路を作るために丘陵地を切り開いたところ、化石を多く含む地層が現れた。その後60年にわたり、魚や植物の化石が数多く見つかっただけでなく、保存状態のよい羽毛の化石も出土している。

 現在のところ、恐竜や鳥の骨とつながった羽毛は見つかっていない。そのため、生え換わりや羽づくろいの際に抜け落ち、風に飛ばされて古代の湖に落ちて底に沈み、泥の中で保存されたものと考えられている。(参考記事:「南極にも大型の翼竜、博物館の焼け跡から発見」

 37年以上にわたってクーンワラの発掘を率いてきたメルボルン博物館のトム・リッチ氏とモナーシュ大学のパトリシア・ビッカーズ=リッチ氏は、今回の論文のために、国際チームと協力して出土した化石の分析を行った。その結果、10個の羽毛の化石はそれぞれ異なるものであることが判明した。たとえば、保温用の綿毛を含むもの、飛ばない恐竜のものと思われる原始的な羽、現在の鳥がもつような飛行用の複雑な羽などだ。(参考記事:「1.5億年前の恐竜は新種、飛翔の起源を揺さぶる」

オーストラリアの発掘現場から、保存状態のよい10個の羽毛の化石が見つかった。恐竜の原始的な羽(左)や先史時代の鳥の羽(右)などだ。(PHOTOGRAPH COURTESY MELBOURNE MUSEUM)
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オーストラリアの発掘現場から、保存状態のよい10個の羽毛の化石が見つかった。恐竜の原始的な羽(左)や先史時代の鳥の羽(右)などだ。(PHOTOGRAPH COURTESY MELBOURNE MUSEUM)
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オーストラリアの発掘現場から、保存状態のよい10個の羽毛の化石が見つかった。恐竜の原始的な羽(左)や先史時代の鳥の羽(右)などだ。(PHOTOGRAPH COURTESY MELBOURNE MUSEUM)

 キアー氏によると、ほとんどの羽毛は長さ2〜3センチ以下で、エナンティオルニス類(絶滅した原始的な鳥類で、白亜紀初期にはさまざまな種類がいた)のものと思われる。中にはとても小さなものもあり、生まれたばかりの個体の羽毛かもしれない。

 ただし、一つを除き、飛ぶために使えるものではないという。そのため、論文の筆頭著者で、スロバキアにあるパボル・ヨセフ・シャファーリク大学の古生物学者であるマーティン・クンドラット氏によると、いくつかの羽毛は地上で生活する肉食恐竜のものであった可能性が高いという。

 マッケラー氏は、「この原始的な羽は、中国の白亜紀初期の化石やカナダの白亜紀の琥珀から見つかった羽毛恐竜の原始的な羽と完全に一致します」と言う。(参考記事:「恐竜時代のひな鳥を発見、驚異の保存状態、琥珀中」

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