木の上に暮らすヘビには、手も足もないが、確実な「近道」がある。
枝から枝に渡るルートだ。その際、体重を支えるのに十分な大きさのものに触れるまで、体の前半分を持ち上げて伸ばす「橋渡し」という行動を見せるヘビが多い。
だが、アジア原産のトビヘビ属の5種は、もっとすごい技を持っている。空中で体を平べったくして、ムササビのように木の上から最大100メートルも滑空できるのだ。(参考記事:「動物大図鑑 トビヘビ」)
そして今回、オーストラリアに生息するブロンズヘビ属が、実際に空中にジャンプできるという新たな証拠が得られた。ブロンズヘビはトビヘビの近縁種だ。
野生のコモンブロンズヘビ(Dendrelaphis pictus)が飛び跳ねる行動は、米バージニア工科大学教授のジェイク・ソチャ氏が2010年にすでに撮影していた。ただし、その詳細はほとんど研究されていなかった。ソチャ氏の研究室に所属していた博士課程の学生で、ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーでもあるミシェル・グラハム氏は、このヘビについてもっと知りたいと興味を抱いた。(参考記事:「トビヘビはどのように“飛ぶ”のか」)
そこで、グラハム氏はオーストラリアを訪れた。野生のブロンズヘビを捕まえ、塩ビ製のパイプや木の枝で実験室に森を再現し、ヘビが飛ぶ姿をGoProカメラで撮影した。
「基本的には、ヘビ用の小さなジャングルジムのようなものです」と同氏は話す。
ヘビがどのように移動しているのかを研究することで、動物の移動方法の多様性について、多くのことが明らかになってきた。それは、こうした奇妙な行動がどのように進化してきたかという謎の解明にもつながっている。
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