火葬で良いのか? その環境負荷と新たな選択肢

増える人生最後の選択肢、液状に分解する方法や堆肥化も

2019.11.07
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【参考動画】ガンジス川:聖なる都市の火葬
ヒンドゥー教では、ガンジス川のほとりで死者を火葬すると、死と再生のサイクルから魂が解放されると信じられている。(解説は英語です)

 現在、この設備はインド国内の9州約50カ所に広がっている。モクシュダの代表を務めるアンシュル・ガーグ氏によると、台1つで1日に45回ほどの火葬が可能という。まきの量も、従来は約400~500キロ使っていたのを、100~150キロに減らすことができたという。

「まきの必要量は、おおむね従来の4分の1を下回っています」と、ガーグ氏。

「伝統とは異なるこの方法に、反発がないわけではありません。しかし、1990年代に比べれば、人々はモクシュダのやり方に肯定的になっています」と、ガーグ氏は話す。事業を管理するチトラ・ケサルワニ氏によれば、インドでは15万を超す遺体がモクシュダの台を使用して火葬された。これにより、48万本以上の木を節約でき、川に流れ込む灰を約6万トン減らし、温室効果ガスの排出も6万トン削減した。

「アフリカやアジアの国々からも、まきを使う火葬の環境負荷を小さくしたいという問い合わせが来ています」と、ガーグ氏は話す。

1回の火葬で出る二酸化炭素は

 一方、米国では、火葬はすべて火葬場の中で行われる。この種の火葬で問題となるのは、消費するエネルギーの量と二酸化炭素の排出量だ。

 各地域の環境規制により、米国の大半の火葬場には、遺体を燃やした後、歯の詰め物から出る水銀などの汚染物質を除いたり無害化する装置がある。「金属や粒子状の物質、亜酸化窒素を減らすことに主眼を置いています」と話すのは、火葬装置を製造するマシューズ・エンバイロメント・ソリューションズのマーケティング部マネージャー、ポール・セイラー氏だ。

 しかし、これらの装置では、遺体の火葬で出るCO2は無害化されない。そこには、650℃を超える高温で遺体を焼く際に発生するガスも含まれる。マシューズ社の推定では、1回の火葬で出るCO2は平均240キロ余り。これをもとに、セイラー氏は、米国内の火葬によるCO2排出量は年間およそ36万トンに上ると算出する。

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