星間物質は3万度超、ボイジャー2号が初の直接観測

太陽圏外に脱出からほぼ1年、星間空間の謎はますます深まる

2019.11.06
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太陽圏は私たちを守る宇宙の「泡」

 ボイジャー2号による最新の発見を理解するには、太陽が単なる火の玉ではないということを知っておくとよいだろう。

 私たちの太陽は激しく燃えさかる核融合炉であり、時速約80万キロで銀河系の中心を周回している。(参考記事:「天の川銀河の基本尺度を精確に計測」

 また、太陽の表面からは常にプラズマの太陽風が放出されている。この太陽風はいずれ恒星の間を漂う星間物質と衝突することになる。

 星間物質は、遠い昔に恒星が爆発した名残で、油と水のように、太陽風と星間物質が混じり合うことはない。おかげで、両者がぶつかる部分に境界面ができる。太陽からはあらゆる方向に太陽風が放出されるため、全体としては泡のような状態になる。この内側が太陽圏、すなわち「ヘリオスフィア」で、その境界面は「ヘリオポーズ」と呼ばれる。

 ボイジャーのデータによると、太陽からヘリオポーズまでの距離は、太陽の進行方向の最先端部で約150億キロ。そして太陽圏の泡は太陽と8個の惑星をすべて包み込み、私たちの繊細なDNAも含め、内部にあるもの全てを、銀河系からやってくる強力な銀河宇宙線から守っている。(参考記事:「太陽系の“最先端”を発見」

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 太陽圏が外の星間空間と接する境界付近には、銀河系の中を移動する太陽圏についての情報が深く刻み込まれている。また、宇宙に散らばる他の恒星の状況もわかるかもしれない。

「私たちは、太陽風と星間物質がぶつかり合う境界面がどうなっているのかを理解しようとしています。そのふたつがどのように混じり合うのか。泡の内側から外側へ、または外側から内側へ、どれだけの物質が移動しているのかを知りたいと思います」とストーン氏は会見で語った。(参考記事:「太陽系外から来たボリゾフ彗星、意外な事実が判明」

 そのヘリオポーズを、科学者たちが初めて目にしたのは2012年8月25日だった。ボイジャー1号が星間空間に突入した日だ。だが、そこから得られた情報は予想外のものだった。例えば、星間空間の磁場は予想されていたよりも2~3倍も強力だった。つまり、太陽圏は予想されていたよりも10倍も高い圧力を星間粒子から受けていた。

「私たちは初めて実際に星間物質を体験したのです。実に画期的でした」。NASA本部のプログラム科学者で、太陽系物理学者のパトリック・コーエーン氏はそう語った。

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